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せきしろ「東京落物百景」
落とし物の数だけ、物語がある――落とされたモノにも、そして落とした人にも。
『去年ルノアールで』『たとえる技術』などの著作で知られる作家せきしろが、東京の街の片隅で、本当に見つけたさまざまな落とし物について考える妄想ノンフィクション

前回は、移動時のマストアイテム「イヤホン」の落とし物から、イヤホンにまつわる5つの悲劇を考えた著者。
今回は、座布団を発見した著者。座布団といえば、当然思いつくのは“あの番組”だが、まさかこんな展開になるとは――

テストに出る!? 『笑点』の「座布団」計算式を考えてみた!

都内の路上で発見した「座布団」。落とし主は山田くんに違いない!?(写真/ダーシマ)
都内の路上で発見した「座布団」。落とし主は山田くんに違いない!?(写真/ダーシマ)

笑いと拍手の量×ネタの質=座布団の枚数!?

座布団と言えば真っ先に思い出すのは『笑点』だろう。そのため座布団が落ちていると『笑点』のことしか考えられない。

日常生活で何か上手いことを言うと「座布団1枚!」と言ってくる人がクラスや職場にひとりはいるもので、それが良いか悪いか辛いかは別として、それくらい笑点イコール座布団のイメージがあるのだ。

私たちの周りで「座布団1枚」と言う人は特に何も考えずにそのセリフを発しているだろうが、もちろん司会者の春風亭昇太さんはそうではない。適当に枚数を決めているのではなく、瞬時に頭の中で様々な計算が行われているはずだ。

では具体的にどのような計算が行われているのだろうか? 私は考え始める。

まずはやはり観客の笑いの量が基準となるだろう。大きく「小、中、大、爆笑、笑いなし」と分けられる。続いて拍手の量を考慮する。笑いが小でも拍手が大きいタイプの回答もある。最たるものは笑いがなくてもスタンディングオベーションが起こるパターンで、これは爆笑と同等の枚数になるはずだ。

笑いが中程度の場合は1枚、拍手も中程度ならばプラス1枚だと私は予想していて、基本枚数は2枚となる。

ただし、そのまま「座布団2枚!」とはならない。さらなる補正が加わるからだ。それは時事ネタであるかどうか、品格があるかどうか、司会者を攻撃したかどうかなどがある。

笑点では歓迎される時事ネタが回答に入っている場合は基本枚数×1.2になる。逆に笑点では嫌われる下ネタなどの品格がない回答ならば基本枚数×0.4、司会者を攻撃した回答は基本枚数×0.1だ。

つまり、時事ネタであるが、下ネタも入っていて品格に欠ける場合の枚数はこの時点で

2.0×1.2×0.4=0.96

となる。

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せきしろ

せきしろ●1970年北海道生まれ。主な著書に、映像化された『去年ルノアールで』や、映画化された『海辺の週刊大衆』、『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』(共に双葉社)など。また、又吉直樹氏との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』(幻冬舎)、西加奈子氏との共著『ダイオウイカは知らないでしょう』(マガジンハウス)も。
ツイッターhttps://twitter.com/sekishiro

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