よみタイ

1500億本中750億本捨てられる輸出用バナナ。その背景にある「不都合な真実」と「未来への希望」

見た目重視で嫌われる「シュガースポット」

バナナが捨てられやすい理由として、バナナ特有の原因もあります。
バナナが熟してくると、黄色い皮が茶色や黒になってしまうことです。これは「シュガースポット」といって、甘さや香りが増して、体にいい成分も増えてきていることを示します。でも、スーパーでは、見た目が悪いという理由で半額などに値引きし、それでも売れなければ処分されてしまいます

シュガースポットの出たバナナ(筆者撮影)
シュガースポットの出たバナナ(筆者撮影)

私は2012年にスムージーの書籍を監修して以来、毎朝、野菜と果物のスムージーを作っています。その本では水を使うのですが、私は100%果汁を使っています。それに、青菜や青じそ、レモン、黒胡麻きな粉、おからパウダーなどを入れ、冷凍したバナナを入れます。
栗原はるみさんのレシピを参考にしたバナナシフォンケーキも、これまで数百回作りました。

スムージーやシフォンケーキに使うバナナは、熟して皮が黒くなり、半額になったバナナです。外側を見て「中まで真っ黒では?」と思う人もいるかもしれませんが、皮をむいてみると、意外ときれいなんですよ。

バナナは、日本以外の国から、時間とコストとエネルギーを使って運ばれてくる果物です。バナナを捨てるということは、目の前にある果物がごみになるというだけでなく、それを作って運ばれてくるために使われたあらゆる労働力や資源をムダにするということなのです。

ところで、バナナには、他にも意外な側面があります。紙に加工して「バナナペーパー」として使うことができるのです。私はバナナペーパーの名刺を使っています。普通の紙よりちょっと薄めで、バナナの繊維が見えるものです。

バナナペーパーで作られた名刺(筆者撮影)
バナナペーパーで作られた名刺(筆者撮影)

育つまでに何年もかかる一般的な木と違って、バナナは一年で育ち、実をとり、そのあと、木は伐採されます。つまり、廃棄されるだけなのです。廃棄されるバナナの木の茎からとった「バナナの繊維」を原料として、古紙や森林認証パルプを加え、フェアトレードの「バナナペーパー」が作られます。

今、私たちが使っている紙のうち、90%以上は木を使っています。でも、現在の紙の使用量は木の再生量を上回ってしまっており、世界の森林が失われています。木は二酸化炭素を吸収する重要な役割を担っていますが、木がどんどん減っているのです。
木の代わりにバナナの茎を使えば、環境負荷を軽減することができます。

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井出留美

いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬社新書)、『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』(あかね書房)など著書多数。
食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

公式サイト●http://www.office311.jp/
Twitter●@rumiide

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