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日本一の焼肉タウン・飯田市で光り輝く、旨くて安い至高の焼肉

年間200食もの牛肉を食べるという、名実ともに肉バカ、小池克臣が日々蓄えてきた肉への愛、知識、体験……そのすべてを注ぎ込む究極の肉コラムがここに。肉好きはもちろん、そうでなくても知っておくべき肉のあれこれが満載!

長野県飯田市をご存じだろうか!?

実は、人口に対する焼肉屋の軒数が日本一多い街こそ、この飯田市なのだ。
ちなみに2位は北海道北見市、3位は三重県松阪市と続く。

飯田市の中心である飯田駅の周りは、想像以上に焼肉屋が多く並ぶ。
また、焼肉屋の軒数だけでなく、人口に対する精肉店の軒数も日本一という肉食の街なのだ。
一般的には考えられないが、飯田市の精肉店ではBBQセットが借りられ、買ったお肉を手軽に食べることが出来る。
さらに、各家庭では焼肉用のタレを自作する文化があると聞く。
大阪では各家庭にたこ焼器があり、たこ焼きという食べ物が生活に密着しているように、飯田市では焼肉が生活に密着しているのだろう。

日本一の焼肉タウンの称号は伊達じゃない。

そもそも、かつての飯田市では市内で牛の肥育から屠畜まで行われていて、特に鮮度抜群の内臓が多く流通していたのだろう。
安くて美味しい内臓は貴重なタンパク源であり、飯田市という街で、積極的に食べられたことが想像できる。
ちなみに、今では屠畜は市外で行われている。
また、山に囲まれた飯田市では、牛肉だけでなく、猪や鹿といったジビエがジンギスカンスタイルで昔から食べられてもいる。

歴史も長く、昔から地元の舌の肥えたお客さんを満足させてきた焼肉屋が多いが、そんな中でも最強と言われているのが【やきにく徳山】だ。

創業60年を超えるこの老舗は、飯田駅から徒歩3分ほどの場所に店を構えている。
昼の12時から夜22時までの通し営業からは、焼肉が生活に溶け込んだ飯田市民の胃袋を支え続けていることが伝わってくる。

昭和の雰囲気をぷんぷんさせる外観に興奮しながら暖簾をくぐると、店内はさらにノスタルジックな雰囲気。
古いのは間違いないのだが、掃除が行き届いていて、清潔感がある。
壁にかけられたメニューに目をやると、値段の安さも昭和のままか!と驚かされる。
噂にたがわぬ凄さだ。

タレは甘口か辛口を選べる。
ロースターにお肉がくっつかないように、牛脂を持ってきてくれるのだが、手の届かない座敷の奥のテーブルには、おばちゃんが牛脂を投げ込んでくれる。
この辺りの大雑把さに一段と心惹かれるのもまた、肉好きの性なのだろうか。
牛脂と同時に野菜が運ばれてくるが、これは慌てて食べてはならない。
何故なら食べ終わるとお代わりが自動的に運ばれて来るから。

昭和の雰囲気たっぷりの外観に期待が高まる
昭和の雰囲気たっぷりの外観に期待が高まる
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小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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