2019.10.4
日本一の焼肉タウン・飯田市で光り輝く、旨くて安い至高の焼肉
前菜にはセンマイ刺身を頼んでほしい。
水っぽさの欠片もなく、プリプリの食感を楽しませてくれる。
焼く前にボイルされたホルモンがミックスされているのが豚モツと牛モツ。
新鮮な豚モツは柔らかく、火を入れることで香ばしさと歯切れの良さに磨きがかかる。
一方、牛モツは皮を剥いてないミノなど珍しい部位が入り、柔らかでジューシー。
この時点で、とにかく仕事の丁寧さに感心する。
一般的なメニューのクオリティも驚くほど高い。
特に牛タンとサガリは秀逸。
しっかりした生の黒タンは甘みがあって、サクサクした食感が心地よい。
量がたっぷりと盛られているのも、タン好きとしては嬉しい限り。
飯田の標準なのか、徳山だけなのかは不明だが、ハラミとサガリをまとめてメニュー名がサガリになっている。
上質なハラミがお皿に並べられ、胡椒が効いた味付けが実に合っている。
あまりに美味しくてお代わりしたのだが、その時は正真正銘のサガリが運ばれてきた。
カルビとロースも外せない。
こういったノスタルジック系焼肉の醍醐味は、決して銘柄牛のヒレやサーロインが食べたいということにあるわけではない。
並のカルビとロースが美味しいことこそが正義なのだ。
その点、徳山のカルビとロースはその条件を満たしている。
この日のカルビはカブリの部分だったが、値段を考えても十分満足。
そしてロースはササミ。
カルビとロースの名付けを不思議に思いながらも、美味しいので全く問題ない。
食感重視のホルモン類もオーダー必至。
分厚いミノはザクザクとした食感で、最高の歯切れ。
プリンプリンの小袋に歯を立てると、ジューシーな肉汁が跳ねる。
歯応えの妙が堪らない。
他にも、脂は少な目で掃除が行き届いたテッチャンは臭みがゼロ。
皮を噛み締めれば噛み締める程、内部から溢れ出す旨みに出会える。
レバーは、牛ではなく豚のレバー。
それでいて、ここまで臭みのない豚レバーは珍しい。
個人的に郷愁の味なのが豚タン。
子供の頃、母親がフライパンで炒めてくれた豚タンのスライスの味が今でも忘れられない。
しかし、徳山の豚タンは郷愁の味を上回ってしまう。
タレが旨すぎるのだ。
カシラはギュッと締まった肉質だが、嫌な硬さではなく、むしろ箸が止まらなくなる。
おばちゃんにオススメされたナンコツは、病み付きになりそうなほどコリコリとしていて、おばちゃんに感謝したくなる味わい。
今回はマトン以外のメニューをほぼ制覇したと思うが、ハズレは一切なし。
抜群の鮮度と手間を惜しまない丁寧な仕事。
入れ替わり立ち替わり訪れる常連さん。
街の日常が羨ましくなるほどの焼肉ユートピアだった。