よみタイ

小池克臣「No Meat,No Life.を生きる男の肉だらけの日々 肉バカ日誌」
年間200食もの牛肉を食べるという、名実ともに肉バカ、小池克臣が日々蓄えてきた肉への愛、知識、体験……そのすべてを注ぎ込む究極の肉コラムがここに。肉好きはもちろん、そうでなくても知っておくべき肉のあれこれが満載!

その日の焼肉の感動を倍増させる最高の〆(締め)方とは?

日々焼肉文化の発展を願ってやまない肉バカが、世の中の焼肉好きに浸透してもらいたいと考えているテーマがある。

焼肉の〝〆″(締め)にはいったい何を食べるべきなのか

それは〝〆に何を食べるか″ということ。

最近増えてきているコースであれば、その流れに身を委ねることで何も問題はないが、アラカルトの場合はどうか。

メニューを開けば冷麺やビビンバ、クッパ等、お馴染みの〆が載っている。
だが、真の焼肉好きを目指すのであれば、このメニューから選んだだけで満足してほしくない。これから紹介する肉バカ秘伝のテクニックを駆使して、その日の焼肉を〆てみてほしい。

きっとその日食べた焼肉の感動が2倍にも3倍にも膨らみ、翌日にもまた食べたくなるはずだ。

冷麺の清涼感を際立たせる〝〆″かた

肉の脂やタレの重さを洗い落としてくれ、すっきりとした食後感をもたらしてくれる冷麺。
その冷麺と同時にオーダーしてほしいのは辛味ダレの焼肉だ。部位は一番安い切り落としで十分。

食べ方としては、まず冷麺のスープを一口。野菜のさっぱりとした旨みや牛骨のコク等、スープの出汁を味わって、職人の仕事に思いを馳せよう。
続いて麺をすする。
スープの絡んだ麺の味わいとコシをシンプルに楽しむ。

こうして冷麺そのものの実力を測定した上で、ここから辛味ダレの肉を焼こう。
部位にもよるがオススメはレアよりウェルダン。ちょっとくらい焦げ目が付いても、むしろ美味しいくらいだ。

焼き上がった焼肉を口に放り込んでじっくりと咀嚼すれば、口の中で赤身と脂、そして辛味ダレが一体感を生み出すことだろう。

ここで一気に冷麺をすするのだ。

音など気にしてはならない。

口の中に残った脂と辛味ダレの余韻にさっぱりとした麺とスープが絡めば、一瞬で口の中の状況が変わる。
これこそが冷麺が最も美味しく感じられる食べ方ではないだろうか。

ちなみに、この冷麺と辛味ダレのマリアージュを楽しむ時に、肉バカが一番オススメなのは浜松町にある「焼肉くにもと」。
麺はコシのある盛岡冷麺、スープはさっぱりとしていながらもコクのある極上の味わい。
冷麺単体でも個人的ランキングNo.1なのがここ、くにもとだ。

辛過ぎず深みのある旨さの辛味ダレも恐ろしく絶品。
さらに、仕入れている牛肉は都内屈指のクオリティで、切り落としといえどもそれが十分過ぎるほどに伝わる。
浜松町には、お兄さんが切り盛りしている本店と弟さんが切り盛りしている新館の2店舗がある。どちらも間違いのない美味しさなので、最強の〆をぜひ体験して欲しい。

ちなみに、焼肉くにもとは個人的タレランキングでもNo.1なので、近いうちにタレについても紹介したい。

白米が止まらなくてダメ人間になってしまう〆

焼肉の最強のお供は白米である。

誰が何と言おうとこの事実は覆らない。
ただし、〆の白米を最高の状態で食べるためには、いくつかのルールがある。
まず、〆までひたすら白米を我慢すること。途中で一口たりとも口にしてはならない。
「白米を食べたい!」という身体のなかの声を押し殺しながら、ひたすらお肉と向き合い続け、最後の〆で白米というご褒美を己に与えてあげることで、白米の美味しさが最高潮に達する。

そして、白米には当然タレ焼肉が必要だ。
こちらも切り落としや並カルビで十分。香ばしく焼いたお肉を白米の上でバウンドさせ、まずは焼肉だけを。続いてタレのしみ込んだ白米を頬張る。

この瞬間の幸せを知らない焼肉好きはいないだろう。

白米はどこの焼肉屋でも食べることが出来る。だが、〆に食べる白米と焼肉のマリアージュにおいて、神の領域に達した焼肉屋が存在するのを知っておいてほしい。

それが恵比寿にある「虎の穴」。

〆に辿り着くまでは、ホルモンを中心に、丁寧な仕込みを感じながら素材そのものの良さを楽しむのがいい。
「虎の穴」はキムチやサラダといったサイドメニューも手抜きが一切なく、全て美味しい。
もちろん白米へのこだわりもハンパない。化学肥料や除草剤を一切使わず有機栽培にこだわり、「はぜかけ」と呼ばれる方法で1週間以上ゆっくり乾燥させた「泣かす米」を使用していて、注文にあわせて土鍋で炊いてくれる。
そこにあわせる焼肉は、噛み応えのあるハラミやサガリ。タレは一口食べたら忘れられなくなるヤンヨンジャンベース。

じっくりと焼いたハラミやサガリを炊き立ての白米にのせ、そこに特製のタレをたっぷりとかける。それを間髪入れずに一気に掻き込むと、脳内にドーパミンが放出されたかのような快楽に襲われる。

どんなにダイエットに尽力している人でも、これを一口でも食べたら、お代わりが止まらなくなる中毒性がある。
その危険性から、常連さんの間ではこの組み合わせは「ダメ人間セット」と呼ばれている。
ちなみにダメ人間セットには濃厚な旨みが病み付きになるコムタンスープ、甘みと辛味が絶妙なチャンジャ、それに韓国のりが付いて完成となる。

正直、肉バカはこの「ダメ人間セット」のせいでダイエットに失敗した人を何人も見ている。

お肉より食後のインパクトが強いTKGによる〆

ここ数年、薄切りで大判のサーロインをすき焼きのように卵につけて食べるメニューをよく見かけるようになった。

しかし、1枚お肉を食べるのに卵を1個使う場合が多く、たいていは卵が余る。余った卵にはタレやお肉の旨みが溶け込んでいて、この卵を使って食べるTKGもたまらない。

このシンプルなTKGを言葉を失うレベルまで引き上げた焼肉屋がある。
「よろにく」では薄切りのザブトンをすきしゃぶ風(すき焼きとしゃぶしゃぶの間のようなメニュー)で仕上げ、卵につけて食べるのだが、ここにトリュフをたっぷりと削ってくれるのだ。
トリュフの芳醇な香りとザブトンの甘み、卵のまろやかさが加わり、頬が緩むのをおさえられないほどの美味しさ。
だが、メインはこの後なのだ。
お肉を食べて残った卵にはトリュフが残っているが、ここに白米を投入してしっかりと混ぜ合わせる。

このTKGの美味しさを表現する言葉を肉バカは知らない。
何故ならこれほどの美味しさを味わったことがないから。

直前に食べたザブトンがTKGの前菜に過ぎないと感じてしまうほどだ。
ちなみに白トリュフがある時期のTKGは、1年でその時期だけのスペシャルで、米料理の最高峰が味わえる。

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

週間ランキング 今読まれているホットな記事