2019.3.15
焼肉・熟成肉ブームの時に誰も教えてくれなかった【A5神話】の真実
牛肉マニアでなくとも、牛肉の等級を表す「A5」という言葉は多くの人に知られている。
だが、この言葉が真に意味することを知る人は少ない。
少々マニアックかもしれないが、まずはその歴史を語ろう。
まずは牛肉の格付けの歴史を知るべし
牛肉の等級による格付けが始まったのは昭和36年まで遡る。
当時は今とは基準が少し異なり、枝肉の等級を表す指標も「(特選)、極上、上、中、並、等外」という言葉が使われていた。
他の食ジャンルではあまり見かけない、焼肉屋ならではのカルビやロースのランク表現の起源がここにあるように感じてしまう。
我々が良く知る「A5」という指標が登場したのは昭和63年の抜本改正に伴って。
枝肉から取れる肉の量を表す歩留等級(A, B, C)と、主に霜降り具合を表す肉質等級(5, 4, 3, 2, 1)の2つを表現する指標が導入された。
つまり「A5」とは、肉の量と霜降り具合が多いということを表している。
詳しくは、拙著『肉バカ。』を参照願いたい。
いちやく脚光を浴びた「A5」という表現
格付けの最上位である「A5」というキーワードを、焼肉を中心とした飲食店で見かけるようになったのは15年ほど前からだろうか。
当初は一部のこだわりの強いお店でしか見かけなかったが、爆発的な焼肉ブームに乗っかって、どこにもかしこにも「A5」が溢れかえった。
だが、肉業界を席巻した、この「A5」というキーワードが次第に独り歩きをし始める。
「A5」というものが最も美味しい牛肉を表す指標であり、「A5」であれば間違いなく美味しい、と。