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鈴木涼美「アラサー女がそんなことで喜ぶと思うなよ」
めでたく30歳を過ぎた鈴木涼美がおくる「アラサー女性論」。30代になった女が失うものは? 得るものは? なにかが変わるのか? 時代を鋭く読み取る元セクシー女優にして社会学者の気鋭のコラム。

男の言葉と行動の深すぎる分析 ~愛と妄想のファシズム

大好評の本連載も今回で一区切り。来週3月11日の更新は1週お休みして、3月18日からは第2フェーズへと移り、装いも新たにリスタートします。どうぞご期待ください!
また、本連載は大幅加筆・修正を加え、今夏、書籍化の予定です。こちらもどうぞお楽しみに!

だいたい、彼氏やセックス以上彼氏未満と一回デートをすると、私や私の周辺の、人が良くて要領の悪い30代独身女は、いまいち消化不良な彼の言葉や「?」の残る彼の行動について、あれはどういうつもりで言ったのか、この連絡の目的はなんだ、あの目をそらしたことにはどんな意味が、と分析を始める。

男の意味深な言葉ひとつで裏読みと深読みはいくらでも

例えば、とある陽気な土曜日に彼氏未満と一夜を共に過ごしたとして、日曜日は市場へ出かけつつ、「先週のデートではセックスしなかったのに今回したのは前進なのか後退なのか」について女友達と議論し、月曜日におふろを焚きながら「また会おうって言ったということは彼も私と一緒にいたいということととっていいのだろうか」と浮き足立ち、火曜日はおふろに入りながら「でも次の約束を具体的に決めなかったということは本気じゃないのかも」と落ち込み、水曜日に友達が来て「5回もデートして付き合うと言わないってことはセックスだけの都合の良い関係にされるよ」と脅され、木曜日は送っていった友達からダメ押しで「他にも女がいるって考えると今までの謎が全て説明できるよ」とメールが届いて悩み、金曜日は糸まきもせず土曜日はおしゃべりばかり。

意味深な言葉が1つでもあれば、少なくともご飯屋一軒と飲み屋一軒分くらいの時間はその深読みと裏読みでおしゃべりが続き、彼から能天気なLINEでもこようものなら、そのタイミングと内容と絵文字の位置などまで細かく分析し、女子会は深夜まで続く。

私たちはだいたいこうやって35年間生きてきた。

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中からキャバクラ嬢として働きだし、20歳でAVデビュー、出演作は80本以上に及ぶ。2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、セックスに関するエッセイやコラムを多数執筆。
公式Twitter → https://twitter.com/suzumixxx

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