2024.8.5
離婚調停の始め方【逃げる技術!第20回】まずは話し合い
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これだけ準備があれば、数ヶ月で協議離婚成立!?
このように柔軟な提案をしてありますから、これで、こちら側と相手方の条件がおりあえば、早ければ3ヶ月くらいで協議離婚が成立するかもしれない、と自分の弁護士にはいわれました。離婚できる? 本当に?
びっくりしました。これまで何度、夫に離婚してほしいといっても、そのたびに急に笑顔になって「ごめんごめん」「嫌がっていると思ってなかった」「心を入れ替える」「人は変われる(なぜ自分でいうのか)」「信じてほしい」「嫌なら嫌って早くいってくれたらよかったのに!(相手を責めだす)」「生まれ変わるから。ホントホント」「どうして俺のことが信じられないんだ(この辺から逆ギレ)」「このこと、誰かに話した? 実家にはいわないこと!(口止め)」などといわれて逃げ出すことができなかったのに、弁護士が入るとこんなにもスムーズなのかと驚いたのです。
DVやモラハラ加害者の「心を入れ替える」「生まれ変わる」は常套句。
実際にはなかなかそうはなりません……。
逃げてよいのだ、と思うと、膝から崩れ落ちそうに脱力しました。
一生わたしはこのまま奴隷などと呼ばれて朽ちていくのだ、しょせん自分はそういう人間なのだ、夫のいうとおり、「使えない東大卒」で「ポンコツ」で「ブタ」で「全然いいところがない」「病気のデパート」で「夫がいないととっくにどこかで野垂れ死していた」無価値な人間なのだ、と思い込んでいたのです。
また同時に「セイラはこんなに俺によくしてもらって、俺は一生かけてどうやって恩返ししていってもらおうかなぁ。なぁ? 何してもらおうか?」ともいわれていて、子育てが終わったあとまで束縛が約束されているのも感じていました。
ぼんやりと、ああ、もうひと花咲かせたかったなぁ(はたして咲かせたことがあるのかどうかはわかりませんが)などと、心はまるで老人のように、虚無に陥る瞬間がたまにありました。
ですから「数ヶ月で協議離婚できるかもしれない」と聞いたときは、うれしいというより、あっけにとられるような気持ちでした。また、これまでずっと自分一人で抱えてきた重い荷物を、誰か専門職の人に一緒に持ってもらえているということが大変頼もしく思えました。もっと早く人にいえばよかったと思います。
ぜひこれを読んでいるみなさんは、なにか家族・親族内のことであっても、それ以外でも、「自分ではこのトラブルは抱えきれない」と思ったら、気軽に弁護士に相談してみてください。
法律相談費用の相場は30分5000円、1時間1万円程度(税別)のようです。初回相談無料を掲げる法律事務所もありますし、いまはオンライン相談もあります。また、自己負担のない法律相談の場を用意している自治体も。
依頼するかどうかは別にして、法律相談だけで終わることもごく一般的なことだそうなので、ぜひ臆せず相談してみてください。閉じた輪の中にこそ第三者の視点や介入が必要なことは多い気がします。わたしは自分の依頼した弁護士事務所とは別の弁護士に、セカンドオピニオン、サードオピニオンをとりました(第10回参照)。
弁護士なんてハードルが高いという人は、自治体、友人、親、きょうだい、警察、子どもの先生など、だれか話のしやすい人に、数打ちゃあたると思ってぜひ話してみてください。
①イヤなことはイヤだと伝えること②モヤモヤとした違和感をスルーしないこと③誰かに頼ること。わたしは自分の後悔から、この3つについては8歳と5歳の子どもたちに折りにふれて伝えるようにしています(と書きながらもわたしはまだこれをうまくできていないのですが)。
学校、園、習い事など、わたしの目の届かないところで起きた困った出来事やイヤなことを教えてくれたときには、どんな内容でも叱らずに「教えてくれてありがとう」といってからハグするようにしています。
さて、離婚の申し出に対する夫のリアクションはどのようなものだったでしょうか? 次回はどう離婚調停へと進んでいったのかについて書きます。
当連載は毎月第1、第3月曜更新です。次回は8月19日(月)公開予定です。
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