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相談するって難しい【逃げる技術!第3回】合わなかったら「チェンジ!」も大事

「結婚情報誌」はあるのに、どうして「離婚情報誌」はないの? モラハラやDV・虐待から逃げるのはこんなに大変なのに……! じゃあ、ないなら自分でつくろう! と始まったのがこのエッセイ。

どこからがDV? 相談窓口は? 「養育費」じゃなくて「婚姻費用」って何? 調停って何ヶ月かかるの? 費用は? ……などなど、最初はギモンの連続。警察や児相の勧めに従って、2人の子連れで家出した著者が、同じ状況にある人にはもっとスムーズに知識を手に入れて「これからの人生」を前向きに考えてほしい、という思いで書きつづります。モラハラやDVから「逃げる」ことは、負けや失敗ではなく「自分らしさを取り戻す戦い」なのです!

イラスト/藤井セイラ 監修/太田啓子弁護士(湘南合同法律事務所)

こんにちは! 編集者の藤井セイラです。前回、「適切な窓口に相談することが大切」と書きました。今日は、わたしにとって大きな意識の転換点となった、自治体のソーシャルワーカーさんとの出会いについて書きたいと思います。

夫が子どもをたたいたことで、限界を超えた

ちょうど1年前、秋の日のことです。日が暮れた直後だったでしょうか。夫が、テーブルの上に配膳をしていた、当時6歳だった子どもの頭をたたきました。特に何か悪いことをしたわけではありません。夫はイライラしており、やつあたりのような感じでした。

子どもは泣きながらもきっと顔を上げて「パパ、謝ってよ!」といいました。夫は無視しました。わたしも「そういうの、よくないよ」といいました。3歳だった下の子も怯えてわたしにしがみついてきました。

夫はそれを徹底的に無視し、そしらぬ顔で「いただきまーす」といってパクパクと食べ始め、いつも食事中はつけないのに急にテレビをつけて音量を上げ、ぶつぶつと何かいいながらさも観ているようなふりをして、やがて食べ終わり、今度はスマホをいじりだしました。

子どもは何度か「謝って!」といいながら泣いていましたが、夫は一切それに答えることはありませんでした。それはあまりにも異常な光景でした。

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区役所の福祉課で、2時間超の面談を受ける

翌日、わたしは区役所の福祉課に電話をかけました。その電話番号は、わたしのことを気にかけてくれていた知人が心配して教えてくれたものでした。わたしの住む自治体では、そこが女性相談の窓口だったのです。

「女性相談」という言葉が行政において「DV相談」とほぼおなじ意味だと知るのはもっとあとのことでした。もしこのとき「DV相談窓口」という名前だったら、わたしはためらってしまって電話できていなかったかもしれません。自分がされてきたことはDVだ、と考えるには抵抗を覚えるからです。

電話がつながると、女性相談員さんは在席中で代わっていただけて、すぐインテーク(初回面談)をセッティングしてくださいました。たまたま先方の予定が空いていたから実現したのかもしれません。ちょうど子どもを園に預けたあとだったので、わたしはそのまま自転車でビューンと区役所に向かい、ダダダダッと福祉課のあるフロアまで昇りました。

結果的に面談は2時間以上におよびました。このときしっかり時間を取っていただけてとてもラッキーだったと思っています。というのは、この面談で「わたしは、わたしの身に起こったことをどう捉え直すか」という作業ができたからです。

Tips 6
自治体によって女性相談窓口がどの課にあるかは異なります。「自治体名 DV 相談」で検索を! ひとり親相談(母子相談、父子相談とも)と同じ部署であることが多いようです。
Tips 7
近年、全国で「男性相談窓口」も増えてきています。電話だけでの相談もできます。モラハラ、パワハラ、セクハラや、男性だからこその役割意識からくる生きづらさなども相談内容に含まれるようです。

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藤井セイラ

編集者、エッセイスト。2児の母。東京大学文学部卒業後、広告・出版を経てフリーに。子育てに関連する勉強が好きで、気がつけば、保育士、学芸員、幼保英検1級、絵本専門士、小学校英語指導者資格、日本語教師、ファイナンシャルプランナー2級など、さまざまな資格を取得。趣味はマンガとボードゲーム。苦手なものはお寿司。最近、映画館で観たのはプリキュア。

X(ツイッター) @cobta https://twitter.com/cobta

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