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DV家出、学校や園への伝え方は?必要なら保険証の手続も!【逃げる技術!第5回】A4・1枚のメモが役に立つ!

DVから子連れで逃げた編集者の藤井セイラさんが「安心・安全・HAPPYなDV避難」を描くエッセイ。モラハラって何? どこに相談する? 親にどう話す? お金は? 「離婚だって結婚情報誌みたいに明るく語りたい!」と、体験談&Tipsをつづります。

イラスト/藤井セイラ 監修/太田啓子弁護士(湘南合同法律事務所)

こんにちは! 編集者の藤井セイラです。DVが理由で、子どもたちを連れて家を出て1年が経ちました。

今日、園で担任の先生と面談があったのですが、「本当に(家を出て)よかったですねぇ。お友達とも楽しそうだし、お昼もたくさん食べられるようになって(家出する以前、習い事の強要がきっかけでほとんど食べられなくなった時期があったのです)」と元気に過ごしていることを教えていただきました。とてもうれしかったです。

今回も、わたしの体験と、別居に際して区役所で受けたアドバイスをご紹介します!

「あの人に叱られるかどうか」が物事の判断基準になってしまう

さて、かつてのわたしは、日常生活の多くの物事を夫にメールで報告し、イレギュラーなことについては判断を仰ぎ、返信を待って決めていました。

子どもが風邪気味なので園を休ませてもいいかとか、そんなことでさえです(園や学校は休ませてもOK、習い事は月謝がもったいないので夕方いかせなさい、という指示が多かったです)。

家出前の半年間、夫の態度はかなりエスカレートしてきていました。80円のマーカーを1本買ったのです。別に隠していたわけではないのですが、それを指摘されて、子どもの前で「これ、どうしたの?」「俺、聞いてないけど」「いったい誰の許可を得て買ったわけ?」と問いただされました。わたしはただ謝りました。

その頃には自分というものがなくなっていました。「夫に叱られるかどうか」があらゆる物事の判断基準になってしまっていたのです。

Tips 23
パートナーに叱られるかどうかが行動の基準になっていたら、要注意。DVを疑って、相談窓口へ。

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「バウンダリー」とDV加害者

最近、「バウンダリー(境界)」という言葉が話題ですが、DVの加害者は、個人間の境界をふみこえて相手の領域をどんどん侵犯してくるようです。

一度こちらが許すと、さらにふみこんできます。その結果として被害者は力を奪われていくのです(もしかすると、パワハラやいじめ、毒親の問題にもこれに近い構造があるかもしれません)。

わたしがこのように考えるようになったのは、区の相談員さんとの2回目以降の会話からです。わたしが夫の行動について報告するたびに、相談員さんはしきりにこのように話されました。

「まあ、夫さんはどんどんエリアを侵犯してきますね
「あー、少しずつ見計らってセイラさんのスペースを侵食してくるんですね」
「それはおかしいですよ。セイラさんの領域にふみこんでいますよ」
間合いを詰めてくるんですね」

これらの言葉かけから「そうか、わたしはわたしと子どものスペースを夫から守らなくてはいけない」「自分のエリアを守ろうとするのは、正しいことなんだ」と思えるようになりました。

それまでは「いやだ」「やめて」といっても逆ギレされていたので、嫌悪感を抱くのみで思考停止してしまっていたのです。

反論、反撃と考えず「スペースを守る」と考える

相談員さんはこれまでに多数のDVのケースを見てきています。加害者が相手の間合いに入り込んで、被害者が許容しないといけない「我慢」をジリジリと増やしていく。このやり方がきっとDVには多いのでしょう。

DV加害者には、相手を所有物のように見なし、コントロール可能な対象だととらえる人が多いのかもしれません。ある意味、幼児的なのでしょう。相手が自分の思い通りにならないと腹を立てるのですから。

DVやモラハラには毅然と対処しましょう、といわれると、どうやっていいのかわからなくなる人もいるかもしれません。わたし自身がそうでした。毅然とできるなら最初から困っていません。

ただ、そんなときは「自分のスペースを守る」「相手との間に見えないラインを引く」「この一線を超えてこられたらNOという」と考えると少しは楽にならないでしょうか。NOをいうのが難しければ、ただ黙って立ち去るのでも構いません。

わたしはそのように考えることで、他人から何をされてはダメなのか、相手のどんな行為や振る舞いを許してはいけないのかを判断しやすくなりました。

また、子どもの頃から苦手だった「その場で相手にいい返す」ということが、少しずつですができるようになってきています(本当は結婚生活の中で夫に向かってできたらよかったのですが)。

心身ともに健康な人からすると「なにをあたりまえのことを」と思われるかもしれません。でも、継続的にDVを受けると、自分という軸がなくなっていく感覚に陥ります。そして外からの圧力をおし返す力が弱くなってしまうのです。

ですから「スペース」「境界線」「わたしのエリア」といったイメージを持つことは、自分自身や子どもを守る上で役立つように思います。

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藤井セイラ

編集者、エッセイスト。2児の母。東京大学文学部卒業後、広告・出版を経てフリーに。子育てに関連する勉強が好きで、気がつけば、保育士、学芸員、幼保英検1級、絵本専門士、小学校英語指導者資格、日本語教師、ファイナンシャルプランナー2級など、さまざまな資格を取得。趣味はマンガとボードゲーム。苦手なものはお寿司。最近、映画館で観たのはプリキュア。

X(ツイッター) @cobta https://twitter.com/cobta

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