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中村憲剛対談「思考のパス交換」

川崎フロンターレの取り組みも参考に、地域密着の新しい陸上競技クラブを作る 【横田真人×中村憲剛対談 前編】

フロンターレの選手紹介をパクっています(笑)

横田
さきほど憲剛さんに「ゼロイチ」というありがたい言葉をいただいたんですけど、今回の大会だけじゃなくて、じつはアイデアはほかのスポーツだったり、世界の陸上大会だったり、まわりからかき集めているイメージなんですね。「0.1」をいっぱい集めて「1」にするような。あとは自分たちの伝えたいメッセージにどう乗せていくかという話。たとえばうちのクラブの選手紹介には150個もの質問に答えてもらっているんですけど、これ完全にフロンターレさんのホームページのパクリです(笑)。

中村 
ありがとうございます!! フロンターレを参考にしてくれているんですね。

横田
ファンの方がその回答を見て、一つでも共感できるものがあれば、ちょっと親近感がわいたりするじゃないですか。ファンに愛されて、地域に密着できる陸上クラブを僕は目指しているので、フロンターレさんの取り組みはよく参考にさせてもらっています。

中村 
いろんなアイデアを実際にカタチにすることがどれほど難しいかも、僕はフロンターレを通じて知っています。一歩踏み出すことがどれほど大変かということも。

横田
逆に言うと、中距離だからやれるのかな、と。100mや長距離で自分が立ち上げたようなチームをつくると、いろいろとまわりから言われるかもしれない。でも、中距離はそれこそ僕が44年ぶりに800mでオリンピックに出て、なかなか人材が(日本の陸上界に)いない。物事は表裏一体だと僕は思っていて、(中距離の)市場がないから好き勝手にやらせてもらえるし、そこで市場をつくったらブルーオーシャンになると思っていますから。フロンターレだって、最初から市場があったわけじゃないですよね?

中村 
いまはチケットがなかなか取れないようなクラブになってきましたけど、僕が入団したころ(2003年)の等々力競技場は日によっては2階席が閉まることもあるくらい、ガラガラでした。自分たちのほうからお客さんに近づいていかないとスタジアムに来てもらえない。だからまずは知ってもらうことが必要でしたね。
いくつかのプロスポーツ団体が離れたことで、川崎はスポーツが根づかない街とも言われていて、逆にそれがフロンターレのモチベーションにもなった。どんどん地域に出ていって一緒に何かやるっていうのは、どのクラブもそうだと勝手に思っていたんですけど、ここまでやるのはフロンターレくらいだって後から聞きました(笑)。

横田
地域密着感がすごいですよね。

中村 
年明け一発目のイベントが川崎大師での必勝祈願と、その後に選手が分かれて市内の商店街回りなんですね。新人も、移籍してきた選手も、外国籍選手も全員参加で。自分が所属するチームの地元商店街を回ることで、選手たちは誰に支えてもらっているかをその年最初のイベントでしっかりと体感できるんです。クラブのサポートショップになると選手がお店まで来るから、ほかのお店も「うちもサポートショップになろうかな」となってくるんです。

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中村憲剛

なかむら・けんご●1980年10月31日生まれ、東京都出身。中央大学卒。
2003年、川崎フロンターレに入団。20年の引退まで同チーム一筋のレジェンド。Jリーグベストイレブン8回。16年にはMVPも受賞。日本代表国際Aマッチ68試合出場6得点。10年南アフリカW杯、出場。最新刊『ラストパス』は現在4刷で話題。
公式ブログ■中村憲剛オフィシャルブログ
公式ツイッター@kengo19801031
公式インスタグラムkengo19801031

横田真人

よこた・まさと●1987年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒。
富士通を経て、現在はTWOLAPS TRACK CLUB代表として活躍。陸上男子800メートル元日本記録保持者。日本選手権6回優勝。2012年ロンドン五輪で日本人44年ぶりに800メートル出場。同年渡米しサンタモニカトラッククラブで2年間の競技生活を送る傍ら、米国公認会計士試験に合格。16年、現役を引退。

公式ツイッター@MASATO_800
公式HP■TWOLAPS

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