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【中村憲剛×廣瀬俊朗対談 前編】大学、社会人、プロ…常にキャプテンだった二人のリーダーシップ論 

同世代、キャプテン、チームスポーツ、フットボール、日本代表……共通項が多いだけに話は弾む。
同世代、キャプテン、チームスポーツ、フットボール、日本代表……共通項が多いだけに話は弾む。

ラグビーとサッカーで異なるキャプテンの役割

中村 
一つ聞いていいですか? 東芝や日本代表で、試合前日に、選手で輪をつくってスパイクを磨くっていうことを廣瀬さんキャプテン時代にやっていた、と。

廣瀬
そうです。試合に対する準備をみんなで楽しくやりたいっていうところが一番の狙いですね。みんなで一緒にやるその空気感がいいし、心も整ってきて“明日このスパイクを履いて、仲間と頑張ろう”って思えるので。それと試合前は相手チームと並んで入場するんですけど、相手のスパイクより自分たちのほうがきれいだったら、自信を持って試合に入れるんですよ。自分たちを信じて戦おうというところに持っていける。

中村 
深いですね。サッカーは(スパイクを)磨いてくれる用具係の方がいるので、その発想が浮びません。

廣瀬
ちゃんとそういうスタッフがいますもんね。

中村 
「場をつくる」というところだと、サッカーの場合は選手ミーティングとかありますけど、僕はいつもそれは最終手段だと思っていたんですよね。

廣瀬
と言いますと?

中村 
選手ミーティングをやるという時点でかなり追い込まれていると思うんですね。なので、ここで選手ミーティングをやってもし結果が出なかったら、いよいよ戻れない。だからやるタイミングがものすごく難しいんですよ。選手のなかではやりたくないっていう選手もいるし、まだ(ミーティングをやる)その状況じゃないでしょっていう選手もいますから。それにラグビーのキャプテンと比べると、サッカーのキャプテンは裁量がそこまで大きくない感じがありますよね。ラグビーでは、監督の役割もあるじゃないですか。だけどサッカーはプレーヤー寄り。

廣瀬
試合前日はキャプテンがトレーニングを仕切る“キャプテンズラン”という慣習がラグビーにはあります。確かにサッカーのキャプテンとは求められるところが違うかもしれません。

キャプテンと監督との関わりは世代で変化する

中村 
ラグビーの場合、ヘッドコーチ(監督)とはどんな関係性を?

廣瀬
“全体最適”をどう担うかっていう思いがヘッドコーチにもキャプテンにもあるわけです。そこに一緒になって向かっているなという実感があれば、チームメイトにも「コーチはこういう思いでやっている」と伝えることで「じゃあ頑張ろう」となる。コーチの考えを咀嚼して伝えるというのはよくやっていましたね。

中村  
僕も、当時は監督の、“通訳”をある意味やっていましたね。新加入選手に、どういうふうにやるとか伝えるのは自分の役割だって勝手に思っていましたから。新しくきた選手に活躍してもらいたい、長くフロンターレでやってもらいたいという思いがあるからこそですけど。あと、この話に関連すると20代のときのキャプテンと、30代になってからのキャプテンでは監督との関わり方も変わったように思います。

廣瀬
興味深い話ですね。

中村 
今思えば、20代の頃はチームを勝たせるためにまずはプレーで引っ張るんだという気持ちの方が強かったと思います。30代に入ってからは監督とのコミュニケーションがより密になっていきましたよね。それこそ監督から「アイツどう?」と聞かれて答えたりとか。みんなをいい方向に持っていくために(監督、チームを)フォローしていくのがキャプテンかなって思うようになりました。

廣瀬
僕も最初は自分のスタイルの確立とかプレーで引っ張っていこうとか、キャプテンとして認めてもらおうというところに割とフォーカスしていた気はします。ただ段々と自分のリーダーシップが確立されていくと、あの選手どうサポートをしようかとかいう感じになっていきましたね。

中村 
自分のなかでも模索というか、最終的に“キャプテンとは何ぞや”と思いながら引退しているところはあります。答えが出なかった。廣瀬さんの研究で早く解明していただかないと。

廣瀬
範囲を狭めないと研究になりにくいのでまずはラグビー限定にしていますけど、興味や関心はいろんなスポーツに広げていきたいと思っています。

後編に続く)

さらに深まるキャプテン対談。後編は11/20(土)午前9時配信予定です。お楽しみに!
(取材時は感染対策を徹底し、撮影時のみマスクを外しています)

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中村憲剛

なかむら・けんご●1980年10月31日生まれ、東京都出身。中央大学卒。
2003年、川崎フロンターレに入団。20年の引退まで同チーム一筋のレジェンド。Jリーグベストイレブン8回。16年にはMVPも受賞。日本代表国際Aマッチ68試合出場6得点。10年南アフリカW杯、出場。最新刊『ラストパス』は現在4刷で話題。
公式ブログ■中村憲剛オフィシャルブログ
公式ツイッター@kengo19801031
公式インスタグラムkengo19801031

廣瀬俊朗

ひろせ・としあき●1981年10月17日生まれ、大阪府出身。北野高校、慶應義塾大学理工学部卒。2004年、東芝ブレイブルーパス入団。高校日本代表や日本代表などすべてのチームで主将を務める。15年、ラグビーW杯イングランド大会メンバー。16年、引退。
19年、東芝を退社し、(株)HiRAKU 設立。現在は慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科でキャプテンシーの研究に取り組むほか、スポーツの普及、教育、食、健康に重点をおいた様々なプロジェクトを進めている。
著書に『なんのために勝つのか。ラグビー日本代表を結束させたリーダーシップ論』(東洋館出版社)などがある。
公式ツイッター@toshiaki1017

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