2023.5.24
美容院探しとヘアスタイル
そんなとき新型コロナウイルスの感染拡大があり、その店からも遠ざかって、髪が伸びるままにしていた。気になるところをちょこちょこと、自分で切っていたら、ボブスタイルになった。何とか感染状況も落ち着き、新しい店も開拓できなかったので、仕方なく同じ店でショートカットにしてもらおうとしたら、
「せっかくここまで伸びたのだから、もったいないからボブスタイルにしたらどうですか。髪質にも合っていると思うので」
と彼女がいった。私は「伸びたからもったいない」という言葉にひっかかった。ヘアスタイルは、もったいないとか、もったいなくないで決める問題ではない。伸びたとしても、短いほうがよければ、思いきりカットするのが、切る方の姿勢なのではないかと思ったが、ボブスタイルは若い頃にずっとしていたこともあり、まあ、それでもいいかと、カットしてもらった。最後にうなじの毛を電気カミソリで整えてくれるのだが、力を入れすぎるのか、首に痛みが走った。家に帰っても痛むので見てみたら、横に赤く血がにじんでいた。
そのうえカットができなかった間、ずっと使っていたシャンプーがリニューアルされ、続けて使っていたら髪質がどんどん変わってきてしまった。髪の毛に腰がなくなり、妙にへなへなになってきて、全体的にべったりとした感じになった。これはいやだなと思い、次に店に行ったときに、再度、
「前のようなショートカットにして欲しい」
と頼んだ。すると彼女はものすごくあわてて、
「いや、今のスタイルがいちばんいいですから。似合っていますし。変えなくてもいいんじゃないですか」
という。それでは相談に乗りましょうという態度ではなかった。それを見た私は、
(この人は、私の新しいヘアスタイルを考えるのが面倒くさくなったのだな)
とわかった。また短くしたら、あっちが跳ねる、こっちが跳ねるといわれそうだし、今のスタイルだと全体的に落ち着いているんだから、いいじゃないかという理屈なのだろう。私がひねくれているのかもしれないが、もうその年齢なのだから、今のままで問題ないのならそれでいいじゃないかといわれているような気がしたのだった。でも私自身がもう飽きているし、若い頃は似合っていたかもしれないけれど、今は似合ってないと思っている。しばらく私は考えていたが、
「わかりました、それでは伸びた分だけカットしてください」
といって、過去の様々な事柄を思い出しつつ、この店に来るのは、これで最後にしようと決めたのだった。