よみタイ

二十五年前に購入した布団の買い替えと収納術

 こうなったらすぐにやらなくてはと、引き出しを開けてみたら、やはり、袷は無理だったが、単衣のところに何とか夏物も入りそうだった。結構、ぎゅうぎゅうにはなったものの、いちばん下の引き出しを空にして、指示書どおりに下着、タオル、パジャマを入れることができた。もっと作業をしたかったのだけれど、やりすぎると絶対に途中でいやになりそうだったので、この日はこれだけでやめておいた。でも生活環境を整えるためには、何らかの処分はしなくてはならない。
 次は小さな庭の落ち葉掃きである。隣家のアカメガシワの大きな葉が落ちてきていて、そろそろ掃除をしなくてはと考えていたら、突然、男性二人が低い塀の向こう側に現れたのでびっくりした。聞こえてくる話によると、あまりに葉が茂りすぎて、メーターの検針ができないようだ。
(そうか、隠しちゃったのか、相当、茂っていたからなあ)
 と思っていたら、翌日、業者らしき男性が一人でやってきて、電動ノコギリでものすごい勢いでアカメガシワを切りはじめた。もちろんそれにへばりついていたヤブガラシも、同時にさようならである。おおっと仕事の手を止めてカーテンの陰から見ていると、彼は住宅の二階以上の高さにまで育った、もう一本のアカメガシワも切りはじめた。切りはじめるとあっという間だなあと感心しながら、見通しがよくすっきりとなった風景を眺めていた。これでこれ以上、落ち葉が増えることはないから、明日、落ち葉掃きをしようと、様子を見に庭に出てみたら、さすがプロの手腕なのか、あれだけの大きさの木を切ったのに、こちらに葉は落ちてきていなかった。気を遣ってくださったらしい。それによって年末の落ち場掃きはとても簡単だった。といっても詰め込んで、大きめのレジ袋一袋分にはなったのだけれど。
 新年を迎えるにあたり、とても周辺が明るく見通しがよくなったのはいいが、ひとつ困ったことができた。これまではアカメガシワが木の枝を伸ばし、たくさんの枝や大きな葉が茂っているのをいいことに、見えないだろうからと、他の洗濯物と同様に、外に下着のパンツを干すようになったのだが、あまりに素通しになったので、いくらおばちゃんといえども、パンツを外に干す勇気はなくなってしまった。節電のために浴室乾燥機は使わず、エアコンの下に、二十年間使い続けている、ステンレス製の折りたたみ式の物干しを置いて、部屋干しするようにした。寒い日は電気ストーブも併用しているので、それも利用する。年が明けるととても天気がいい日ばかりで、気持ちがよかったのだけれど、青い空を見上げながら、また思いっきりパンツを干したいなあと、少し残念に思ったのだった。

次回は2月22日(水)公開予定です。お楽しみに!

群ようこさんの好評既刊!

「しない生活」だからこそ見えた、大切なこと、やりたいこととは……。

編み物、動画鑑賞、新聞購読、掃除、読書、マスク作り……いくつになっても、家の中でも、近所でも。喜びや楽しみは、いつでも見つけられる。
彩りに満ちた日常をめぐるエッセイ集。

『今日は、これをしました』の詳細はこちらから

1 2 3 4

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『散歩するネコ れんげ荘物語』『今日はいい天気ですね。れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『よれよれ肉体百科』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『これで暮らす』『小福ときどき災難』『今日は、これをしました』『スマホになじんでおりません』『たりる生活』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

週間ランキング 今読まれているホットな記事