よみタイ

二十五年前に購入した布団の買い替えと収納術

 つい買ってしまう雑誌や本に関しては、読んだらすぐに処分(資源ゴミに出すか、バザーに出すか)するようにしているけれど、定期的に書評の仕事をしているので、気になった本は取っておかなくてはならない。前の住まいから持ってきた本棚二台には本がぎっしり詰め込まれていて、薄い雑誌を押し込む隙間もない。
「うーん」
 何度も本棚の前でうなったような気がするが、ほとんど改善されていないのが悲しい。これは頭の中であれこれ考えているだけではなく、収納のイメージを図に描き起こして、それに従って片づけ、そこに入らない分は処分するしかないと考えた。しかし部屋に積んである本を眺めるうち、本にも困っているが、生活のなかでいちばん困っているのは、脱衣所に収納がないことだったと思い出した。
 脱衣所には備えつけの洗面台の下のスペースしか収納がなく、そこに洗剤のストックや水回りの掃除に必要なものを入れておくと、他のものが入らない。入浴後に体を拭くフェイスタオルも入れる場所がないので、下着、タオル、パジャマなどは無印良品の持ち手のついた帆布バスケットに入れて床置きしていた。いくら上に布を掛けてカバーしているとはいえ、私としてはとにかく物の床置きは避けたいので、何とかならないかと悩んでいたのだった。
 まずは小さいスペースからと、脱衣所に必要だが、そこに収納できないものをどうするかを考えた。奥行が狭い棚か引き出しを購入しようかと考えたが、家具は増やしたくない。脱衣所に近い部屋は、本置き場と着物部屋を兼ねている。そこにはチェストが一台あって、いちばん上には二分の一の幅の小物用の引き出しがあり、下の大きな引き出し三段には襦袢が入れてある。裏が白い紙に、正面から見たチェストの絵を簡単に描いた。引き出しにはそれぞれ、袷用、単衣用、夏物と分けて入れてあったのだが、もしかしたら単衣用と夏物を一緒に入れたら、ひとつが空くのではないかと、引き出しの絵のスペースに、袷、単衣と夏物、いちばん下に、下着、タオル、パジャマと書き込んだ。これは自分の自分に対する指令書のようなものである。私は頭だけで考えるよりも、文字として目で見たほうが、より認識できるようだ。もしこのとおりに収められなかったら、何かを処分しなければならない。

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『散歩するネコ れんげ荘物語』『今日はいい天気ですね。れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『よれよれ肉体百科』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『これで暮らす』『小福ときどき災難』『今日は、これをしました』『スマホになじんでおりません』『たりる生活』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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