2023.1.25
二十五年前に購入した布団の買い替えと収納術
愛猫を見送り、ひとり暮らしとなった群ようこさんの、ささやかながらも豊かな日常時間をめぐるエッセイです。
版画/岩渕俊彦
第11回 二十五年前に購入した布団の買い替えと収納術

二〇二二年の十二月は、二十二日に年内に渡す原稿はすべて書き終わったので、残りの大晦日までの日にちを、部屋の片づけにあてようとがんばってみた。手始めに二十五年ほど前に購入した羽毛掛布団を何とかしようと、カバーをはずしあらためて点検した。気温差に対応できるように、夏に使う薄掛けも含めて、二枚の薄手、一枚の厚手の布団にそれぞれカバーを掛け、季節や室温に合わせて重ねて使っていたのだけれど、それらの布団が限界を迎えている気がしていたのだ。
三枚の布団をよく見てみると、薄いほうの二枚はともかく、いちばん厚い布団の劣化が甚だしく、買い替えが必要だった。他の二枚は本体にはそれほど問題はなかったが、カバーの使い勝手がとても悪く、中で布団がよじれたり、薄手のせいか綿なのにすぐに皺だらけになったりと、見栄えがよくない。かといって合繊のものはいやだしなあと思いながら、インターネットで探してみたら、ホテル仕様のカバーがみつかった。これまで使っていたものよりは高かったが、縫製も丁寧で品質がよさそうだった。毎日かならず七時間は使うものだし、多少出費が増えても、快適なもののほうがいいと、カバーをすべてそれに替えることにした。
今のクリーム色のカバーは、白は汚れが目立ちそうだからと選んだ色だった。しかし使っていくうちに、実際はそうではないのに、もとは白色のものが黄変したかのようにみえてきたので、今回は白、グレー、ローズ、紺の四色あるうち、清潔感のある白にした。値が張ることもあり、本来ならば三枚必要なのだが、とりあえず最低限必要な二枚分だけ購入した。
問題は本体の布団である。羽毛布団のクリーニングについては、オーガニック洗剤で洗浄する店舗のDMが届いていたが、想像していたよりも高額だったので注文しなかった。古びた布団にそれだけの料金をかけ、新しい羽毛を足しても使い続けたほうがいいのか、それとも新しい布団を買ったほうがいいのかと悩んだ。しかしこの布団がだめになったら、羽毛のものを買うのはやめようと考えていたこともあり、新しい部屋に引っ越したことだし、これから先、新しいものを気持ちよく使っていこうと、納得できる価格の範囲内の布団を探した。念のためにアレルギー対応のもののほうが安心かもと、いろいろなサイトを見ていたら、羽毛は不使用で、今使っている布団よりもずっと安い値段で売られているのをみつけて購入した。布団だけではちょっと寒い日もあったので、他のサイトで毛布も新しく買った。