2022.9.28
元気すぎる雑草の生長と謎の穴
ヤブガラシに目を奪われているうちに、防犯のために撒かれている砂利を押しのけて生えている雑草は、元気よく生長し続けていた。三十センチ以上も、伸びてきているものまであった。
「早く草取りをしなくちゃ」
と思っていたものの、連日の猛暑続きで、いくら庭とはいえ、外で作業をする気にもならず、先延ばしにしていた。するとまた日に日に雑草の生長が著しくなり、他の部分は砂利が敷いてあるのが見渡せるが、その一角だけは草しか見えなくなってしまった。
放置するわけにはいかないので、天気予報を毎日調べながら、やや気温が低くなるという日の午前中に目標を定め、草取りを決行することにした。六時に起きて燃えるゴミを出し、足元はサンダル履きだが、帽子、長袖Tシャツ、エプロン、首に手ぬぐい、両手にゴム手袋という姿で、ゴミ袋を傍らに置いて、草取りをはじめた。
草取り用の道具も購入したのだけれど、夏場に本気でやりすぎるのは、前期高齢者としてはよくないのではないかと思い、手で抜ける部分だけを抜くという方式にした。さすがに朝早くだと、私の天敵の蚊も出てこないようで、スムーズに草取りは進んだ。ハルジオン、ノゲシ、カヤツリグサ、シダ類のうちの何か、をはじめ、ドクダミもたくさん生えていた。これを洗って焼酎やアルコールにつけておくと、虫刺されなどに効くと知ったので、他の草とは分けておいた。
ヤブガラシのように根が深いものは別にして、他の雑草は引っ張ればすぐに抜けるので、それほど辛い作業ではない。しかしハルジオンはどうしても手だけでは根まで抜けないので、地面の葉しかむしれなかった。放射状に平たく葉を広げているのだけれど、それごとごっそり抜けないのだ。ハルジオンは貧乏草ともいい、ヤブガラシと同じように、野原にたくさん生えていた。そして春になると白い花を咲かせた。
私が小学校に入学する前に住んでいた長屋の庭にも、ハルジオンが咲いていた。それを見た母親が、
「貧乏人の家に貧乏草が生えているのは困ったものだ」
といい、私が切って花瓶に活けたいといっても、だめといって許さなかった。花が咲いたらハルジオンとわかるけれども、その前はこういう状態だったのかとはじめて知った。
私の年齢を考えると、ヤブガラシもハルジオンも六十年以上前から地面に生えていた。もっと前、東京が焼け野原になった直後も生長し、繁殖し続けてきたのだろう。それは根性が違うと思いつつ、申し訳ないが今のところ、うちには不要なので、お引き取りいただくしかなかった。