よみタイ

カフェイン抜きと雑草とのにらみ合い

 クーラーも前の住まいではネコ様が冷え性だったため、私の一存では使えなかったけれど、今は好きなように使えるので、
「クーラーを入れると、こんなに涼しくて、体が楽なのね」
 とあらためて気がついた。以前は夏場に必ず、肘の裏側のくぼみのところに、あせもができていたのだけれど、今年はそれがまったく出なかった。昔はクーラーが苦手だったのに、今は平気になった。周囲には、若い頃は平気だったのに、年齢を重ねてから苦手になったという人もいて、人それぞれのようだ。家の中で熱中症になるケースのほうが、外でかかるよりも相当多いようだけれど、まじめに節電をしていたせいで、という理由だけではなく、高齢になってクーラーが苦手になったからという人もいるのかもしれない。
 新型コロナウイルスがまたまた感染拡大しているので、外に出る機会が少なくなったが、いくらクーラーの効いた室内が快適で涼しいからといって、家の中にばかりいるのもよくないと、晴れている日は気温が多少高くても、といっても三十三度くらいが限度だが、散歩がてら午前中に近所のスーパーマーケットまで買い物に行く。
 玄関のドアを開けると、もちろん外気は暑いのだけれど、汗をかくのは嫌いではない。かかないのもかきすぎるのも、体にとってはよくないそうだ。曇りの日でも、日光をほぼ遮断するという愛用の日傘を差して、ふだんよりものんびり歩いていく。人も少ないのでマスクをずらして歩くことも多い。真っ青な空に、ご近所の庭木の緑も青々としていて、暑いけれど、とても爽やかだ。しかしじわりじわりと、暑さが襲ってきて、外に出たのを後悔しはじめた頃に、店に着く。店内はもちろんクーラーが効いているので、ほっとしながら買い物をする。
 その店は最寄り駅から離れていて、前には交通量の多い道路もあるが周囲が住宅地のせいか、買い物客もそれほど多くなく、いつもゆっくりと品物を選べる。車で大量に買い出しに来ている人も多い。店舗の専用駐車場を見ると、レクサス、ハイブリッド車のワゴン、外国車が多く、徒歩で買い物に来ているのは、私くらいのものかも、などと思いながら、持てる範囲のものを購入する。こんなに買うんじゃなかったと後悔する頃には、家に戻っている。あまりに暑い場合はシャワーを浴びるし、そうでない場合はぬるま湯に浸して絞ったタオルで体を拭いて、服を着替える。これで涼しい部屋にいると、気分もすっきりして、昼食後の仕事もはかどりそうな気がするのだ。

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『散歩するネコ れんげ荘物語』『おネコさま御一行 れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『よれよれ肉体百科』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『これで暮らす』『小福ときどき災難』『今日は、これをしました』『スマホになじんでおりません』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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