2026.7.3
髙橋義明 自分なりのやり方で「アートと社会を繋ぐ」 【実録・メンズノンノモデル 第8回 前編】
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家を建てることだけが建築ではない
モデルとしてのキャリアは順風満帆だった。デビュー直後から多くのファッション特集で起用され、世代の近い栁俊太郎や坂口健太郎らとともに瞬く間にメンズノンノの「顔」と言える存在になっていった。
髙橋 時にはその号のファッション企画のほとんどに出させていただいたこともあって、ありがたいなあと思う反面、「読者の皆さんは飽きないのかな?」などと感じる時期もありました。それに、その頃は雑誌がどういうふうに作られているのかもきちんと理解していなかったので、「僕ばかり出ているのは(雑誌全体のあり様として)どうなんだろう」とか、「アートや建築を絡めてもっと面白いページを作ればいいのに」なんて生意気な思いを抱いたことも。でも、雑誌には広告も含めていろんなバランスがあり、ただカッコいい、面白い、だけでは成立しない。一冊の本を作るのに、本当にたくさんの人たちの考えや思いが交差している。世界は僕が思っているほどシンプルではないのだと、仕事を重ねていく中で学んでいきましたし、カメラマンさん、スタイリストさん、ヘアメイクさん、エディターさんら、いろんな人の、いろんな意見があって、その一部として自分もいる。そのことをメンズノンノの撮影現場で経験できたことは本当に大きかったですね。
栁俊太郎と坂口健太郎の存在も、髙橋にとって、メンズノンノモデルとしての心構えやその後のキャリアに対してひとつの重要な指針になった。
髙橋 二人とは世代が近いこともあっていろいろと話しました。とくに坂口とは使っていた電車の路線も同じだったので。僕が入った頃、二人はすでに「役者になるんだ」ということを心に決めていて、すごいなと思っていました。大学を卒業後、僕自身はモデルと並行しながら展示という形で作品をアウトプットしていましたが、アーティストとも建築家とも言えないような肩書きだったので、彼らがやりたいことをひとつに絞ってひたむきに進んでいく二人の姿には、人としての“強さ”を感じていました。
そんな彼らとの表紙撮影は、メンズノンノモデル時代の仕事の中でも強く心に残っているという。
髙橋 (メンズノンノモデルになって)最初の撮影が表紙だったんです。実は後から知ったのですが、あのときのオーディションにはメンズノンノモデルに選ばれると表紙になれるという副賞があり、受賞後に当時のメンズノンノモデル全員での撮影に参加させていただいて。今でも鮮明に覚えていますね。そして数年後、栁、坂口、成田(凌)と4人で表紙の撮影をもやらせていただき、そのときはもう三人とも役者としてバリバリ活躍していたので、「役者ではない僕をここに入れてくれるんだな」と、純粋に嬉しかったです。


メンズノンノモデルは、その後2019年まで、約8年にわたって務めた。
髙橋 30代でメンズノンノモデル、というのは自分の中では難しいなと思い、29歳のときに卒業させていただきました。こんなに長い間できるとはもちろん思っていなかったので、(卒業するときは)もう、「本当にありがとうございました」という気持ちでいっぱいでしたし、同時に、卒業後もメンズノンノの名に恥じない活動をしていかないといけないなという使命感も湧きました。
「社会とメディアと建築との接点を見出したい」。メンズノンノモデルを志す原動力にもなっていたそのテーマに対しては、どんな答えが見つかったのだろうか。
髙橋 難しいですが、ひとつ言えるとしたら、「家を建てる人だけが建築家ではない」と考えるようになったことでしょうか。人と人との関係を築き上げることも、言葉と言葉を繋ぎあわせることも、広義の意味で建築なんじゃないかと。こういう考えに至ったのはこのときから、とはっきりしたきっかけはないのですが、いろいろな人と関わりながら雑誌作りに携わる中で、自分が「(そんな中でも)常に建築と向き合い続けている、ということに嘘はない」と思えたんです。
メンズノンノモデル卒業から7年経った今、髙橋はその思いを胸に、「東葛西1-11-6 A倉庫」を拠点に、一体どのような視点で建築やアートと向き合っているのだろうか。
(7月4日(土) 午前9時公開の後編に続く)

PROFILE
1989年生まれ、愛知県出身。2011年、武蔵野美術大学建築学科3年時に第26回メンズノンノモデルオーディションでグランプリに輝く。以降、2019年6月まで約8年間メンズノンノモデルとして活躍。その間、モデル業と並行しながら、大学卒業後には建築士資格を取得し、アーティストとして作品の展示やインスタレーションにも精力的に取り組む。また大学同期のメンバーたちとともに江戸川区の元床柱工場をアトリエとして改装し、現在は「東葛西1-11-6 A倉庫」という名で公開している。そこを拠点に様々なアーティストと共同で企画する展示を開催しながら、建築設計や会場構成なども手がけている。BE NATURAL所属。
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後編(6月6日午前9時公開)に続きます
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