2023.6.2
京都人の田舎憎悪は兼好法師の時代から生き続けて 第12回 東西の都の片憎みと片思い

第12回 東西の都の片憎みと片思い
地方の人はしばしば、
「東京の人は冷たい」
と言うものです。昔の歌謡曲でも、上京する若者に対しては、「都会に染まるな」といった言葉が投げかけられているのであり、東京には、何か悪いものが渦巻いているというイメージがあるようなのです。
東京に住む身としては、その手の言説に触れると、少し寂しい気持ちになるもの。都市には人がたくさんいるので、見知らぬ人と安易にかかわらないということが一種のマナーとなっており、それが「冷たい」と見えるのかもしれません。が、東京人も人の子。善人もたくさんいるのに、と。
ある地方では、
「○○さんは東京の人にしては珍しく、とてもいい人だ」
と、共通の知人を褒める人がいました。私が東京の人間だということを知った上での発言と考えると、私の性格を非難したいのか、東京人全体を非難したいのかよくわからなかったのですが、とにかく東京人のことが嫌いなのだ、ということはよくわかった。
そんな折、京都の人も東京人と同じようなことを言っていたのです
「『京都の人って、言ってることと思ってることが違うんでしょ?』って無邪気に言われたことがあって、傷ついた」
と。
「お客さんに、本当に『ぶぶ漬けいかがです?』って言うんですか」
という質問もしばしば受けるそうで、
「そんなん言わへんワ!」
とも言っていました。