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彼氏アリ20代女子が女性用風俗に求めた、たった一つのこと

顔よりもテクニック重視

 そんなある日、由奈さんはふと考えついた。それは世の中に男性向けの風俗店があるのならば、女性向け風俗店もあるのかもしれないということだ。女性向け風俗店ならば、性の悩みを解消してくれるかもしれない。スマホですぐに検索してみると予想通り女風のサイトがズラリと出てきた。「試してみよう!」と由奈さんはすぐに決意した。
 ちなみに女風は、若い女性たちを中心にして近年一気にカジュアル化が進んだというのが私の実感だ。その背景には、大手店舗がYouTube上で若者に人気の有名インフルエンサーたちとコラボしたり、経営者が積極的にテレビ番組に出演するなどして知名度を上げたことが大きいだろう。
 SNSの普及もそれを後押しした。セラピストたちもTwitterなどのアカウントを通じて積極的に自身について発信するようになり、どんな人物なのかが事前にわかることで、女性側も親近感を抱きやすくなった。ルックスも芸能人レベルのイケメンがたくさんいるし、料金も1時間1万円前後と低価格なため、会社勤めをしている一般の女性たちも利用しやすくなった。
 また女風は、施術の基本的な流れとして、前半は揉みほぐしが含まれる。そのため、性欲解消はもちろんのこと、エステ店の延長のような感覚で、ひと時の『癒し』を求めて利用する女性たちも多い。そんな業界の事情も相まって、従来型の『風俗』のイメージにとらわれない利用者が増え、これまでにないほどグッと敷居が低くなっている。
 だからこそ、私よりもずっと若い由奈さんがすぐに女風を思い立ち利用を決めたのも、自然なことで納得させられるものがあった。
 同世代の男性たちに性的不満を持つ由奈さんが重視するのは、何よりもテクニックだ。だからセラピストの顔は度外視して、とにかく経験豊富で歴も長くテクニックを持つセラピストに絞り込んだ。
 由奈さんが見つけ出したのは、己のテクニックを全面にアピールしていてランキング入りもしている3歳年上のセラピストだ。
 サイトのプロフィールに記載された華々しい経歴に期待が持てそうに思えた。由奈さんは何事も気になったら即行動に移す性格ということもあり、一度決めたら迷いはなかった。

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菅野久美子

かんの・くみこ
ノンフィクション作家。1982年生まれ。
著書に『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(角川新書)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)、『ルポ 女性用風俗』(ちくま新書)などがある。また社会問題や女性の性、生きづらさに関する記事を各種web媒体で多数執筆している。

X:@ujimushipro

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