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菅野久美子 私たちは癒されたい ~「女風」に通う女たち~

彼氏アリ20代女子が女性用風俗に求めた、たった一つのこと

女性用風俗、略して「女風」。かつては「男娼」と呼ばれ、ひっそりと存在してきたサービスだが、近年は「レズ風俗」の進出など業態が多様化し、注目を集めている。
女性たちは何を求めて女風を利用し、そこから何を得たのか――
『ルポ 女性用風俗』の著書もあるノンフィクション作家の菅野久美子さんが、現代社会をサバイブする女性たちの心と体の本音に迫るルポ連載。
今回は、彼氏とのセックスに悩みを抱えて、女性用風俗の利用を決意したという由奈さん(仮名・25歳)のお話を伺います。

 4月上旬、ある日の平日――、私は、池袋駅近くの老舗の喫茶店の入り口で女性を待っていた。夕食時とあってか店内は人もまばらで、まったりとした時間が流れている。
 これからやってくる女性には会社が定時で終わり次第、この喫茶店で話を聞かせてもらうことになっている。待ち合わせの時刻が近づくと、ひと際明るいオーラの若い女性が現れた。

「菅野さんですか! はじめまして。吉田です。私、基本的に何でもお話できると思うので、どんなことも遠慮なく聞いてくださいね!」

 そう言って女性は私にニコっと笑いかけてくれた。彼女の気さくでオープンな雰囲気に少しホッとする。爽やかな笑顔が印象的な、癒しのオーラを身にまとった女性、それが吉田由奈さん(仮名・25歳)だ。
 席に案内され、仕事帰りでお腹を空かせているであろう由奈さんに、食事のメニューを勧める。彼女がオムライスとアイスココアを注文したので、私もそれに倣ってオムライスを頼んだ。
 仕事を聞くと中小企業の事務職だという。由奈さんは再びニコっと笑顔を浮かべながら、まっすぐな眼差しを向けて女風の利用動機について語り始めた。

「そもそも私、これまでの人生の中で夜の生活がいいなって思ったことが一回もなかったんですよ。セックスが気持ちいいとか楽しいって思えたことがないんです。それで彼氏とセックスするのが苦痛になっちゃってたんです。そんな男性との関係を改善したいなと思ったのが、女風の利用動機ですね」

取材を受けてくださった吉田由奈さん(仮名・25歳)。 撮影:菅野久美子
取材を受けてくださった吉田由奈さん(仮名・25歳)。 撮影:菅野久美子
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菅野久美子

かんの・くみこ
ノンフィクション作家。1982年生まれ。
著書に『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(角川新書)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)、『ルポ 女性用風俗』(ちくま新書)などがある。また社会問題や女性の性、生きづらさに関する記事を各種web媒体で多数執筆している。

Twitter @ujimushipro

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