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どうして新宿ゴールデン街で働き始めるとモテるのか? 元・素人童貞が語る「欲望の三角形」

「モテたい人にモテなきゃ意味ないですよ」

そんな感じで文章を読んでくれた人から急に距離を詰められて好意や悪意を剝き出しにされるジェットコースターのような日々はなかなか精神的なストレスを感じるものでありました。ある日、店番の先輩である中澤雄介くんという1個下の男の子と朝方にゴールデン街で飲んでいた際、

「おまえ最近モテてるらしいじゃん」

と、からかわれたので、

「好きな人に好かれなきゃ意味ないの!」

と本音を吐露したら、翌日、「君の話だと思いました」という一言とともに、以下の記事がLINEで送られてきました。

『大豆田とわ子と三人の元夫』に見る、「モテてしまう」という現象の弊害

2021年に流行っていたドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』に、松田龍平演じる田中八作という、自分の意図とは関係なくモテてしまう男が出てきます。田中八作が親友の恋人から好かれて親友とその女性との板挟みで苦しんでいる時に「モテたい人にモテなきゃ意味ないですよ」と言うシーンがあり、その現象について、絶対に終電を逃さない女さんというライターの方が考察した記事でした。

さらには、「モテていいよね」などと言われた際に「好きな人にモテないと意味がない」と本音で返しても、謙遜や嫌味だと捉えられかねない。なかなか理解者を得られないという点でも厄介なのである。

モテたくない人にモテることは「意味がない」どころか、害悪にすらなりうるのだ。

──絶対に終電を逃さない女「『大豆田とわ子と三人の元夫』に見る、「モテてしまう」という現象の弊害/連載「東京青春朝焼恋物語」第2回」より引用

記事が続きます

記事を読んで共感させられました。モテない時は、モテればたくさんの人に囲まれて人生ウハウハになる、とぼんやりと考えていたのですが、実際に周りから「モテますね」と言われるような状況に陥っているときは、他人の好悪の感情にやたらと晒されるし、暴言まで喰らうこともあるのでストレスを感じることも多かったです。

周りの人に少し不満を言ったとしても「そうは言うけどモテるんだからさ」と、まともには取り合ってもらえません。絶対に終電を逃さない女さんの記事を読んで、モテるって言われる状況って楽しいというよりもストレスフルなことが多いのでは、と薄っすらと考えていた自分の気持ちを初めて掬いあげられたような気持ちになりました。

余談ですが、ゴールデン街とは関係のない友達に会った際に、

「最近、友人から『大豆田とわ子と三人の元夫』の田中八作は君の話だ、って言われたから、ドラマ見てるんですよね」

と話をしたら、

「えっ、あれって奥渋の話ですよね!?しかも山下さんってイケメンじゃなくないですか!?」

と言われて、そんなことを言われてビックリしてしまった自分にビックリしてしまいました。ゴールデン街で日々飲んでいる人はどんな作品を見てもゴールデン街で飲んでいる人に登場人物を例えてしまう傾向にあり、自分もその価値観にどっぷり浸かってしまっていたことに気づきました。そしてよくよく考えてみれば、30年間生きていて顔が似てると言われた芸能人は松田龍平ではなく、やくみつるでした。よろしくお願いします!

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新刊紹介

山下素童

1992年生まれ。現在は無職。著書に『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』。

Twitter@sirotodotei

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