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他人のことを散々ネタにしてきた山下素童ってどんな人?? ゴールデン街で出会った48人に聞きました!

「この風俗体験ブログはおすすめだよ!! おもしろくて夜寝れなくなっちゃうよ」
私が山下さんを知ったのはブログで素人童貞を卒業する文章を書かれる半年ほど前に、働いていた風俗店のスタッフさんにおすすめされたのがきっかけでした。 お金を払ってでも性欲を発散させたいというとても感情的な行動をしているにも関わらずそれを冷静に論理的にかかれていたその文章のギャップが面白くおすすめされた日から漁るように読んでいました。
でも私は風俗嬢でありお客さんの感情に共感を覚えることはないし、私は人並みに男性経験もあったので素人童貞の方の気持ちにも寄り添うことはできませんでした。
ある日実家暮らしをしていた私は両親と喧嘩をして家出をしネットカフェで暮らし始めました。風俗で働いて明け方ネットカフェに帰り眠くなるまでネットサーフィンをする毎日を送っていました。 そのとき山下さんの 「デリヘル嬢の「お店からの紹介文」を計量分析してガチで読む」 という記事を読みました。 関東圏のデリヘルを片っ端から調べ、女の子の本指名ランキングが掲載されているデリヘルのホームページを用いて、「お店からの紹介文」を分析したというものです。 「ああ、この人病んでるのかな」 と思いました。 この文章を読んだ時、私が病んでしまったときに元彼のSNSを見たり、前好きだった人をネットストーカーしたりするのですが、この文章を書く人も同じような感情だったんじゃないかなと思いを馳せることができ、初めて共感出来ました。
そして私は晴れて上京をし山下さんに会うためにゴールデン街デビューをしました。 何度かお店に通う中で、デリヘル経営者であり山下さんの昔からの知り合いという方とお隣になりました。 酔っ払っていたのもありその人は大きな声で 「お前の文章は面白くなくなった‼️‼️ ゴールデン街で居場所ができて満たされてから面白くなくなった‼️‼️ お前は孤独じゃないとだめだ‼️‼️」 と何度も言っていました。 山下さんはぼそぼそと何かを言い返してヘラヘラ笑っていました。
ヴァン・ダインというアメリカのミステリー作家の言葉に 「作家が面白い長編を書けるのは6冊が限度だろう」 という言葉があります。 わたしはデビュー作はその人の書きたいものが詰まってて面白いがそれ以降は読者からの声や上からのアドバイス、今はこういう文章が万人受けるんだろという投げやりな下心がその人らしさを無くさせどんどんつまらなくさせていくという解釈をしています。 山下さんのすごいところはエロを面白く論理的に書けるところよりも自分の気持ち悪いところ、恥ずかしいところ、見栄、周りからの評価、自分を支持してくれる童貞達からの声すべてを無視してあった出来事、思ったことをそのまま書けるところだと思います。 病んでいたり、満たされる感情を感じ取れるのが山下さんの文章の好きなところです。 あんなに素人童貞たちの心を掴んだ山下さんのブログにそれの対局であろうアイドルとセックスをした出来事を載せる山下さんは最高だなと思いました。 読者の童貞達はそんな子とセックスどころか会話できるか危うく憧れのまま一生を終えるというのに、、、 風俗体験記を見て久しぶりに山下さんの文章を見た童貞は面食らったことでしょう。暴力とは物理的な攻撃で怪我を負わせるだけのことを指すのではないのだなと勉強になりました。山下さんの文章はいつも読者を置き去りにします。前は素人童貞なりの気持ち悪さがありましたが、最近は周りに人が集まり出した人間の気持ち悪さがブログから感じとれて表面的には山下さんは人間の関わり方を覚えて変わったように思うけど、ブログの内容はいつも気持ち悪く本質的には変わってないんだなと安心させてくれます。 きっと本当に変わってしまうときは童貞達の共感を得ようとチープな想像風俗体験記を書きだした時じゃないでしょうか。 あまりに周りの影響を受けなさすぎる山下さんのブログはいつだってデビュー作を読んでいる気にさせてくれます。この前「月に吠える」でお隣になったデリヘルオーナーさんや、私達は、山下さんについて考えすぎてるみたいです。もしかしたら全然論理的じゃないし哲学的じゃないし、とても感情的な人かも知れません。答えはもっと浅いところにある気がします。山下素童という人間を知るにはまだ酔いが足りないみたいです。 すみません!! テキーラ2つお願いします

──きんたまるおさん(風俗嬢)

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「人はけっして他人のために書くのではないこと、何を書こうとも、そのことでいとしい人に自分を愛させることにはならぬのだということ、エクリチュールはなにひとつ補償せず、昇華もせぬこと、エクリチュールはまさしくあなたのいないところにあるのだということ、そうしたことを知ることこそが、エクリチュールのはじまりなのである」
(ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』)

たぶんこういうことなのだと思います。あるいは、こういうことではないのかもしれません。

──鈴木亘さん(美学研究者 / 東京大学 大学院人文社会系研究科 助教)

今回コメントをくれた人たちが実際に登場する私小説が、いよいよ7月26日に発売されます。

この本を読んで、あなたもぜひゴールデン街の住人になってください。

書籍の詳細はこちらから

 次回連載最終回は8/2(水)公開予定です。

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新刊紹介

山下素童

1992年生まれ。現在は無職。著書に『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』。

Twitter@sirotodotei

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