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学歴の魔法は入社まで? インキャ京大生が就活から学んだこと【学歴狂の詩 第8回】

稀代のカルト作家として人気を集める佐川恭一さんによる、初のノンフィクション連載。
人はなぜ学歴に狂うのか──受験の深淵を覗き込む衝撃の実話です。

前回は、佐川さんの京都大学時代の就職活動を綴りました。
今回も引き続き番外編として、就活の実態を赤裸々に語っています。

また、各話のイラストは、「別冊マーガレット」で男子校コメディ『かしこい男は恋しかしない』連載中の凹沢みなみ先生によるものです!
お二人のコラボレーションもお楽しみください。
イラスト/凹沢みなみ
イラスト/凹沢みなみ

京大生に届く「ご案内」

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 その後も、会社のセミナーや懇親会のお知らせは定期的に届いた。届きまくった。そこでも私の元にだけ届き、永森には届かない連絡が多々あった。「京阪神限定セミナー」など、あからさまに学歴上位を狙ったセミナーがクソほど案内されてくるのである。私のメールボックスにはまだそれが残っているが、今見返してもすべてチェックするのは不可能なほど多く、未開封のものも相当あった。とにかくその怒涛の案内を見て、私は「とりあえずここまでは学歴で勝てるんだな」と思った。世間では就活に大事なものは「人間力」だとか「コミュニケーション能力」だとか言われていてひるんでいた私だったが、そんな話は嘘だったのだと──少なくとも私は──思った。

 とにかく学歴によって難易度が大きく変動するゲームだということは確かである。大手マスコミなど高倍率のところを受けている友人らは敗れ去ったりもしていたが、それほど特殊ではない業界、特に採用数の多い金融業界などでは、たとえリーディングカンパニーと言われるところでさえ、ただ入るということに限って言えば難しくなさそうだった。

記事が続きます

(※一流企業から山のように来ていた京大生やら京阪神限定のセミナー・懇親会の案内の一部。
永森には来ていないものも多かった。最後の画像は内定先からのおぞましい牽制球)

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佐川恭一

さがわ・きょういち
滋賀県出身、京都大学文学部卒業。2012年『終わりなき不在』でデビュー。2019年『踊る阿呆』で第2回阿波しらさぎ文学賞受賞。著書に『無能男』『ダムヤーク』『舞踏会』『シン・サークルクラッシャー麻紀』『清朝時代にタイムスリップしたので科挙ガチってみた』など。
X(旧Twitter) @kyoichi_sagawa

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