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藤原綾「女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳からのシングル移住」

移住の前に、本当はやっておかなければならなかったこと

たくさんの町の魅力と、おまけの移住支援金

――少子高齢化で人口自体は減っていると思うのですが、先日、たまたま霧島市の移住者が増えていると聞きました。実際、どのような状況なんですか?

松元さん「もともと移住、定住の専門部署を設けたのが平成18年くらいで、移住定住の補助金を活用して霧島市にいらっしゃった方を移住者としてカウントしています。補助金を制度化したのが平成20年からで、当初は13世帯の方に利用していただいたのですが、年を追うごとにだんだんと増えてきていて、制度開始から13年で611世帯の方が転入されています」

――じわじわ増えているんですね。霧島市ではどのような移住政策を行っているんですか?

松元さん「霧島市では、移住政策を3つの柱で進めています。ひとつめが移住PR体験事業、いわゆる移住体験ツアーのことですね。ふたつめが移住・定住促進イベント参加事業で、国際フォーラムや東京ビッグサイトなどで行われている移住イベントに参加して霧島市を広くPRするというものです。そして3つめが補助金制度です」

――移住体験ツアーっていうのは、お試し移住のお話ですよね? 一度調べたのですが、コロナ禍で中止していたので断念したんです。具体的にはどのようなことをするんですか?

貴島さん「ツアーといっても、3組くらいのこじんまりとしたものなんです。市の職員が空港にお迎えして、実際に移住された方のお話を聞きに行ったり、稲刈り体験をしたり。参加された方の希望を聞いて、移住した場合の物件が見たいと言われたら案内しますし、最近は霧島神宮のあたりで陶芸体験をすることもあります。夜は温泉街の人気宿や昔ながらの湯治場に宿泊していただきます」

――霧島全体を見て回るという感じなんですね。

松元さん「観光と移住体験の中間のような感じですね。霧島神宮や、パワースポットと呼ばれる龍馬公園といった霧島の見どころを紹介しつつ、先輩移住者との交流を楽しんでもらいながら霧島での生活をイメージしてもらう形です。オーダーメイドまではいかないですが、こういう場所が見たい、こういう物件がみたい、このエリアが気になるといった要望があれば、柔軟に組み込むことができます。半オーダーメイド的なツアーですね」

――県外からの転入者は、どのような人が多いんですか?

松元さん「やっぱりまったく縁がないというよりは、Uターンの方が多いですね。最近は孫ターンという言葉もあるらしいんですよ。おばあちゃんやおじいちゃんの家が鹿児島にあって、移ってこられる方も増えています」

――孫ターン! 初めて聞きました。そういう言葉が生まれているということは、全国的にも実家に戻るのではなく、祖父母の家に行った経験から移住するパターンが増えてきているということなんでしょうね。補助金についてはいかがですか?

松元さん「大きく分けてふたつあって、ひとつは転入者向けのもの。藤原さんのように、霧島市外から霧島市に転入していただいた方ですね。もうひとつは転居者向けのもので、霧島市の国分や隼人といった市街地から、それ以外の地域に転居された方向けのメニューがあります。この補助金は空き家対策という側面も持ち合わせている制度なので、市街地への転入でも中古住宅を購入された場合は少額ではありますが、支援させていただいています。基本的には、中山間地域を対象にした制度で、たとえば藤原さんの場合だと、中山間地域に転入されて、中古物件を購入してリフォームされているので、50万円が補助されます」

――子どもがいたり、40歳未満の夫婦だったりするとさらに30万円の加算金もあるんですね。うぅ、私は対象外だな……。ちなみに補助金も移住の後押しになっているとお考えですか?

松元さん「自分的には、補助金はおまけみたいなものだと思っています。実際、アンケートを取ったら、 “補助金がなくても霧島に移住しましたか?”という質問に対して“はい”と答えた人が87%もいたんです。それがとても嬉しくて」

貴島さん「実際、補助金に関してはどこの地域も同じようなことをやっていますし、僕たちとしても補助金というより、町の魅力で来てほしいという思いがありますね」

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藤原綾

1978年東京生まれ。編集者・ライター。早稲田大学政治経済学部卒業後、某大手生命保険会社に就職するも、大企業の闇に触れて逃げるように宝島社に転職。ファッション誌の編集を経て2007年に独立し、ファッション、美容、ライフスタイル、アウトドア、文芸、ノンフィクション、写真集、機関紙……と、節操なく仕事を受けてきた結果、幅広い業界で編集・執筆活動を行うことに。近年もブランドムック『ANNA SUI COLLECTION BOOK』、雑誌『小学一年生』、漫画『ごろごろにゃんすけ』(村里つむぎ)、書籍『つくるひとびと』(秋山竜次/ロバート)、小説『海の怪』(鈴木光司)、カタログ『LAZY SUSAN』など、極端なノンジャンルで活動中。

インスタグラム @id_aya

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