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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」

20年ぶりに新人同士の激戦! 兵庫県知事選挙は5人の候補をメディアがしっかり伝えていた。

そのダッシュにも注目した金沢候補。(撮影/畠山理仁)
そのダッシュにも注目した金沢候補。(撮影/畠山理仁)

候補者本人を直接見ると異なる印象もわかる!

 今回、選挙に行かなかった有権者のみなさんに、ぜひ勧めたいことがある。それは候補者本人を直接見ることだ。できれば全候補者に会いに行ってほしい。そうすれば、「誰に投票したらいいか」「誰に投票すべきではないか」がわかる。
 候補者本人を見れば、絶対に「勘」が働く。候補者を支援する人たちの振る舞いも参考になる。その時には、「自分もその輪に入りたいと思うか」と自問自答してみればいい。
 幸いなことに、今は各候補者が事前に街頭活動の予定をSNSなどで発信している。ホームページには「お問い合わせ」のフォームもある。それどころか、服部修候補と中川暢三候補は選挙公報に自身の携帯電話番号をばっちり公開していた。
 有権者が知ろうと思えば、候補者の予定を知ることは難しくない。実際、よそ者の私でも、前日夜には各陣営の活動予定がすべてわかった。その予定を一覧にしてすり合わせれば、たった1日ですべての候補者を自分の目で確かめることができる。すべての候補者を見た上で、気になる候補を複数回見ることも可能だ。
 選挙は4年に1度しかない。その機会を逃せば、次に投票できるのは4年後だ。4年の任期の知事を決める選挙なのだから、1日ぐらいは候補者めぐりに使ってもいい。実際に候補者を見れば、投票後に「失敗した」と悔やむことは格段に減るはずだ。

 今回、私は実際にすべての候補者を見ることで、事前に得ていた情報とはまったく違う印象を受けた。
 支援者のもとに猛ダッシュで向かう金沢候補を見て「こんなに体力がある候補者なのか」と驚いた。階段の上にいる有権者のもとには、階段を一段抜かしでぴょんぴょんと駆けつける。そして丁寧にグータッチをすると、すぐに階段を駆け下りる。若いスタッフが置いていかれるほど速い。
 ちょっと早口になってしまう斎藤候補の演説を聞いて「せっかくの演説内容が聴衆の耳に届いていないのではないか。スタッフは誰もそのことを教えてあげないのか。もったいない」と残念に思うこともあった。
 服部修候補の街頭演説会場では、なぜかパンツ一丁の幼児が楽しそうに走り回っていた。それを誰も止めない。服部候補は「誰かマイクをもって話したい人いますか?」と言って、その場にいる人にマイクを渡していた。なにかものすごい自由を感じた。
 金田峰夫候補は「学生時代にスキーバス事故で友人を亡くしました。それ以来、命と尊厳を大切にする社会を作りたいと活動を続けてきました」と、政治の世界を志した原点を熱く語っていた。

 普段の生活で、いきなり他人の「核」に触れられる機会は少ない。しかし、選挙の現場では、心を揺さぶられる瞬間が何度も訪れる。
 こんなに素晴らしいライブはなかなかない。だから私は選挙を旅している。

着流しの服部候補の演説では自由を感じた。(撮影/畠山理仁)
着流しの服部候補の演説では自由を感じた。(撮影/畠山理仁)
政治の世界を志した原点を熱く語っていた金田候補。(撮影/畠山理仁)
政治の世界を志した原点を熱く語っていた金田候補。(撮影/畠山理仁)

【2021年兵庫県知事選挙結果・得票順】

当日有権者数 452万9,865人・投票率41.10%

斎藤元彦:85万8782票(得票率46.9%)<自民党、日本維新の会が推薦>
金沢和夫:60万728票(得票率32.8%)<自民党県議、立憲民主党、国民民主党、井戸知事などが支援>
金田峰生:18万4811票(得票率10.1%)<共産党推薦>
中川暢三:14万575票(得票率7.7%)
服部 修:4万6019票(得票率2.5%)

今回の取材ではレンタル自転車が大活躍。(撮影/畠山理仁)
今回の取材ではレンタル自転車が大活躍。(撮影/畠山理仁)
選挙漫遊の楽しみ。ご当地グルメ。こちらすきやきとステーキ弁当。(撮影/畠山理仁)
選挙漫遊の楽しみ。ご当地グルメ。こちらすきやきとステーキ弁当。(撮影/畠山理仁)
もちろん明石焼き定食も!(撮影/畠山理仁)
もちろん明石焼き定食も!(撮影/畠山理仁)
演説の合間に立ち寄った鉄人28号。(撮影/畠山理仁)
演説の合間に立ち寄った鉄人28号。(撮影/畠山理仁)

5人の候補者の演説動画はこちらから!

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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