よみタイ

名古屋市長選挙の熱き戦いは河村たかし氏の当選で終わった。しかし大村愛知県知事との戦いは終わらない。

防衛省報道室広報課の対応には心底あきれた。

 最後に、この連載では時々、記者会見のあり方について書いてきた。名古屋市長選挙においても、そんなことを思わせる出来事がいくつもあった。
 そんな中、心の底からあきれる経験もした。それは防衛省に対してだ。とくに報道室広報課の対応がこんなにひどいとは思わなかった。
 防衛省報道室の対応については過去にもこの連載で取り上げてきたが、私がこの連載で張った伏線を回収するのは私しかいない。だからここで共有しておく。

 私は今年2月3日付けで、防衛省に対して情報公開請求をしていた。求めた行政文書は「防衛省における定例記者会見への参加資格、提出書類等について、防衛省大臣官房広報課が検討した内容、検討過程、検討結果がわかる一切の文書」である。
 この請求について、最初の返事があったのは3月8日。その時は「開示決定等の期限の特例規程の適用について(通知)」という文書が届いた。
 簡単に言うと、行政文書を公開するかどうかの判断時期を延期するというものだ。

 その文書には「令和3年4月5日(月)までに可能な部分について開示決定等を行い」と書いてあった。残りの部分は「令和3年7月5日(月)までに開示決定等する予定」と書かれていた。
 それから待つこと3週間。3月30日付で防衛省から一部文書の「開示決定通知書」が届いた。私はすぐに開示の手続きを取ったが、開示された文書が送られてきたのは4月15日のことだった。

 これだけもったいぶられたら、どんな文書かと気になる。私が急いで封筒を開けると、中には一枚の紙しか入っていなかった。
 とても大切なことなのでみなさんにもお知らせする。防衛省が開示期限を延期してまで出してきた紙は、防衛省のホームページで公開されているものと全く同じ文書だった。
 私は2月3日から2カ月以上、この文書をもらうために時間をかけた。しかし、私はみなさんにこの文書を今すぐ見てもらうことができる。それが下記の文書である。

【防衛省における定例記者会見への参加について】

 私はこの文書を1月の段階で見ている。もちろん防衛省のホームページで、だ。
 この国はどこかおかしくなっていないだろうか。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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