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新型コロナ禍で「激変」した2020年の選挙まとめ。「保守分裂」「現職落選」の連鎖は2021年も続くのか?

現職落選ドミノは起きるのか?

 今年1年の選挙を振り返るうち、私は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の後に行われた「福島県内の首長選挙」を思い出した。2011年に行われた選挙ではない。2013年に福島県内で行われた首長選挙だ。

 2013年、福島県では現職の落選が相次いだ。4月の郡山市、7月の富岡町、9月のいわき市、11月の福島市、広野町、二本松市の首長選挙である。この選挙結果は「現職落選ドミノ」と言われた。
 この現象は、震災や原発事故からの復興の遅れに対する不満が原因だと説明されている。そこには「従来の政治には期待できない」という、有権者の怒りにも似た態度があった。大きな自然災害は「有権者を起こす」のだ。

 新型コロナウイルス感染症も、社会に大きなダメージを与えた「災害」だ。
 2月末に安倍政権(当時)が突然決定した全国の小中高校の一斉休校や、4月の緊急事態宣言。それにともなうリモートワークの推奨は日本人の生活を大きく変えた。コロナ禍による社会の混乱は「政治が命に直結する」ものだと、あらためて有権者に認識させた。リーダーによっては「人災」を招いているのも共通する。
 いや、「招いている」という表現は不適切だ。責任の所在が曖昧になる。
 この国には「GoTo人災」への道を突き進む政治家がいる。当選させたのは有権者だ。この事実は1ミリも揺らがない。

 来年1月24日には岐阜県知事選挙が行われる。これは現職と複数の新人候補による「保守分裂選挙」になりそうだ。4月に任期満了を迎える千葉県知事選挙では、現職の森田健作がすでに出馬しないことを表明している。こちらは新人同士の激しい選挙戦になりそうで注目している。

 そしてなんといっても、来年10月には衆議院議員の任期満了が控えている。つまり、来年10月までには、必ず衆議院議員総選挙が行われる。

「政治が命に直結する」「投票率が上がると結果が変わる」
 そんなことをコロナ禍で実感した人も多いと思う。
 何度も繰り返して恐縮だが、日本の選挙期間は短い。しかし、有権者がアンテナを張っていれば情報は手に入る。有権者はもう少しがんばってもいい。

 どうか「普通選挙」が行われているうちに、後悔のない「一票」を行使してほしい。選挙の行方、そして政治の行方を決めるのは「あなた」しかいない。

(文中敬称略)

【追記】
 今年も選挙の現場で多くのみなさまにお世話になりました。候補者、支援者、選挙管理委員会、そして有権者のみなさま、本当にありがとうございました。
 おかげさまで「選挙エッセイ」という特殊な連載を一年間続けることができました。心より感謝申し上げます。どうぞ来年もよろしくお願い申し上げます。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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