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流行語ほんま草生い茂って山──『金々先生栄花夢』の一部を超現代訳してみた

文学作品への興味や理解はもっと気楽でいい

 塾講師バイトをしていた数年前のある日、偶然ツイッターで「いとあはれなり」は「まじエモい」と近いのではないか、というツイートを読んだ。おもしろかったので、後日古文の授業でそれを生徒に伝えてみると、生徒が「なんだ、そんな軽くてもいいんだ……」と、どこか安心したように返事したのを覚えている。さすがに学校のテストでそう答えると減点されてしまいそうだが、文学作品への興味や理解というのは、こんなふうにもっと気楽なものでいいんじゃないかな、と思う次第だ。

【注釈】
(*1)先述の「www」がまるで草が生い茂っているように見えることから、「笑う」を「草生える」や単純に「草」と表現するようになった。その発展系「草生い茂って花」は、お笑いコンビEXITのネタにも使用されていた。

(*2)ちなみにこの名詞+「する」の形の流行語・若者言葉は明治時代にも見られ、『学歴貴族の栄光と挫折』によれば留年することを「ドッペる」と表現していたそうだ。語源はドイツ語のDoppelt(二倍の)+「する」。この語を紹介したページが一部ツイッターでプチバズしていたので、ご存じの方もいるかもしれない。

(*3)本作は謡曲『邯鄲』や『辰巳之園』を引き合いにした表現が多い。また、同じ恋川春町は本作の前に『当世風俗通とうせいふうぞくつう』(金錦佐恵流きんきんさえる作、1773年刊)の画を担当していたとされる。この『当世風俗通』は、若者に遊里にくりだす際のファッションを紹介する内容であった。今でいう雑誌やファッション系インスタまとめ記事のようなものと言えるだろう。

(*4)「日本一の整形男子」としてタレントデビュー。最近は彼の独特な言語表現がネットを中心に使用されている。彼のファンはクリマン(女性器の略称なんだ㌔、ノォマルピィポォへの配慮で栗の絵文字に満車の絵文字で表記されている時もあるわよな)と呼ばれており、彼のマッコト素晴らしい言語表現ウォ真似たファンの話しぶりから「クリマン語」と表現することも多いョ。普通に(笑)。
ちなみに「ブリ突き上げる」は調べてみても明確な語義が出てこないんだキャロット、しかしその勢いのあるニュアンスはなんとなく伝わる。誰か教えてくださらないCA4LA……。

【参考文献】
水野稔校注『日本古典文学大系59 黄表紙・洒落本集』(岩波書店 1958)
神永曉『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信出版局 2017)
『日本国語大辞典 第二版』第13巻(小学館 2002)
竹内洋『学歴貴族の栄光と挫折』(中央公論社 1999)

 連載第6回は3/29(火)公開予定です。

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児玉雨子

こだま・あめこ
1993年神奈川県生まれ。作詞家、作家。明治大学大学院文学研究科修士課程修了。アイドル、声優、テレビアニメ主題歌やキャラクターソングを中心に幅広く作詞提供。著書に『誰にも奪われたくない/凸撃』(河出書房新社)。

Twitter @kodamameko

(写真:玉井美世子)

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