よみタイ

稲田ズイキ「罰当たりなほどにユルくてポップな仏教トーク」

「お坊さん」をアップデートせよ! 僧侶に対する5つの誤解

坊主なのに煩悩まみれ。
そんな俗世と浄土を行き来する、ユル〜い僧侶・稲田ズイキがお届けする仏教トーク。

前回は除夜の鐘と煩悩についてを解説しました。
今回は、令和になってもステレオタイプから脱却できない「お坊さん」イメージについて。稲田さんいわく、時代は「ダイ坊主シティ」のようですよ!

明けました。令和二年。え、二年ってすごくないですか。もう二年経ったの? 僕の令和元年、半年くらいしかなかったんですけど……。

冒頭からつまらないボケをかましてしまいすみません。だってちょと待て令和、まだこっちはその速さに追いつけてない。明治維新のときの徳川慶喜の気持ちである。日本の夜明けは近いぜよって、まだこっちは夜8時のテンションなんですよ。

こんなに時代が多様性に極振りしているというのに、今もなお一定のイメージに囚われて、実態とは程遠い虚像を背負っている存在、それがお坊さんである。お坊さん、つまり坊主、僧侶、僧、和尚、おっさん。メディアや創作物の影響からか、これほど変わらず一つのイメージにはめられている存在はないのではないだろうか。

もちろんそのイメージが守られてきたからこその恩恵があったり、お坊さんの大半が「戒」という道徳規範を授かっているので、ある程度、均一な部分があるのは仕方ないと思うんだけど。それでも、さ。

僧侶だって、モナカじゃなくて、マカロンが食べたい時もあるんだよ!!!!!

あああああ、つい心の声(煩悩)が出てしまった。「僧侶=和が好き」みたいなイメージがあるけど、お坊さんだって一人の人間なわけで、ぶっちゃけ人による。当たり前ですけど、みんなが畳の部屋で正座して暮らしているわけじゃないんです。

というわけで今回は「僧侶に対する5つの誤解」と題して、「お坊さん=○○」みたいな簡単な図式に逐一ツッコミを入れて、お坊さんの多様性を拡張していこうではないか! 名付けて、ダイバーシティならぬ「ダイ坊主シティ」である(力技)。

①すべてのお坊さんが滝に打たれたり、掃除をしているわけではない

「滝打たれるんでしょ?」

一体死ぬまでにあと何回この質問に答えることになるんだ? 「お坊さんなの?」→「修行してるの?」→「滝打たれるの?」のコンボで、これまでどれだけの僧侶が苦し紛れの返答を繰り広げてきたのだろうか。

これが最後の返答。言うぞ、言うからな! 滝行をするのは一部の宗派だけ! 
大半のお坊さんは滝に打たれない。もちろん、お寺によっては修行体験として設けているところもあるが、あくまで各々のお寺に限った話。お坊さんの必修科目ではないのだ。
国民に刷り込まれた「修行=滝」のイメージは新日本プロレスと『NARUTO』の功罪である(たぶん)。

ちなみに滝行をやるのは、体に鞭打つためでもチャクラを練るためでもない。自分の心が煩悩で汚れているという自覚を促し、自分の心のあり方を正すためである。サウナ後の水風呂感覚、ダメ絶対!

あとね、「毎日掃除してるの?」これもよく言われる。なぜだかわからないが、ドラマに出てくるお坊さんの8割がほうきで境内を掃除しているのだ。

たしかに仏教には、掃除をし続けた結果、徳の高いお坊さんになったという周梨槃特しゅりはんどくの説話(『天才バカボン』のレレレのおじさんの元ネタと言われる)があったり、昔から修行僧は勤行・学問より「作務さむ」と言われたり、仏教と掃除は切っても切り離せるものではない。どれだけ綺麗に掃除してもまた汚れていく、それが人の心であるからだ

ただ、いろんな人に怒られるかもしれないけど、これだけは言わせてください。お寺の本堂ほどルンバが活躍する空間はない。
僧侶だって日々の法務に忙しい。そんなとき、ボタン一つ押せば、キレイに掃除してくれる彼を重宝しているお寺が実はたくさんある。こまごまと物の多い部屋は不得意な彼だが、本堂のような大空間であれば、それはもうルンバ冥利につきるだろう。ほら、ルンバってちょっと仏弟子っぽい名前に聞こえてきませんか。楼無婆るんばみたいな。えっ?

もちろん「こんな楽してしまっていいのか」と自らの煩悩とのせめぎ合いが必須であり、それが何よりも心を磨く修行になっているはずである。きっと。

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稲田ズイキ

いなだ・ずいき●僧侶。1992年京都の月仲山称名寺生まれで現・副住職。同志社大学を卒業、同大学院法学研究科を中退、その後デジタルエージェンシー企業インフォバーンに入社。2018年に独立し、寺に定住せず煩悩タップリな企画をやる「煩悩クリエイター」として活動中。コラム連載など、文筆業のかたわら、お寺ミュージカル映画祭「テ・ラ・ランド」や失恋浄化バー「失恋供養」、煩悩浄化トークイベント「煩悩ナイト」などリアルイベントを企画しています。フリースタイルな僧侶たちWeb編集長。Twitter @andymizuki
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竹内佐千子

たけうち・さちこ●漫画家。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子のレズビアン。
自身の恋愛体験を描いたコミックエッセイをはじめ、おっかけ、腐女子、などをテーマにしたコミックエッセイを描き続け、最近はストーリー漫画も描いている。
赤ちゃん本部長』(講談社)、『生きるために必要だから、イケメンに会いに行った。』(ぶんか社)など。
ホームページhttp://takeuchisachiko.jp/
Twitter @takeuchisachiko

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