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稲田ズイキ「罰当たりなほどにユルくてポップな仏教トーク」

今年の煩悩、今年のうちに! 除夜の鐘は心の大掃除だった

人間、365日バグってるのがデフォ

とはいえ、ここでマジレスさせてもらうと、鐘の音を聞いたからといって、貪・瞋・痴にすぐさま影響があるかと言われたら、ぶっちゃけない。鐘の音だけで煩悩が消えたらブッダもDMM.comもいらないだろう。

だけれども、ここで同じ煩悩ブラザーとしてマイ解釈を添えておくならば、僕らは想像以上に自分の煩悩に対して無自覚でいるということだ。三毒でいう「痴」。痴の引力マジぱねぇすもん。

「あたしって煩悩まみれだな〜」なんて気付けているうちはかわいいもので、僕たちは知らず知らずのうちに煩悩に取り込まれてて、心がカラカラに渇いていたり、他人に無責任に怒ったりしてしまっているのだ。俺たち人間、365日バグってるのがデフォ。

だからこそ、少し心を落ち着けて自分の心を客観的に見つめる時間はとても貴重である。年末はただでさえ忙しい。だから、年越しの瞬間くらいは鐘の音を聴きながら、今年一年の煩悩を洗い出すのだ

最近だと、瞑想や坐禅、マインドフルネスがいいなんていう話を聞いたことがあるかもしれない。
言わずもがな、それらの実践は仏教をルーツにしているもので、そこで求められるのは簡単に言えばただ一つに集中すること。一般的なものだと自分の呼吸に集中したり、「歩く禅」といって自分の一歩一歩に集中したりすることもある。
除夜の鐘だって、お寺という静寂の中で、音にだけ集中すれば自分の心に向き合える一つの機会になるだろう。僕らは無意識に外部からの刺激を受けて、様々な感情を頭の中に浮かべてしまっている。まずは落ち着いた環境に身を置いて、ただ一つに集中するのだ。

向き合った時にいろんな心の声が湧き上がってくるだろう。amazonで要らんもの買ってしまってたな〜とか、他人のインスタ見て無駄に嫉妬していたな〜とか。自分の行動をメタ認知する過程の中に、痴から抜け出す瞬間がたくさん見つかるはずである。

仏教には「泥中でいちゅうはす」といって、蓮が汚い泥の中でしか花を咲かさないように、自分自身の煩悩を見つめる眼が深ければ深いほど、悟りにも近づくのだというマジありがたい教えもある。だって人間なんだもの、バグること自体は仕方がない。これまで数々の名僧たちも「煩悩なくならねぇ」とその壁にぶち当たってきたのだ。勇気出る。

大切なのは、心はバグるという事実を認識して、自分の心を過信しすぎないこと。そして、「自分、今バグってんな」と自分で自分を把握できるようになること。

年末は煩悩を刺激するものにたくさん出会う。一年を振り返ってみて、もっとこうすればよかった、こんなはずじゃなかったのに、と過去の時間に執着するんじゃなくて、今ここで現実に流れている時間に向き合えるといいよね

この胸のソワソワを時計の針を回す力に変換させるのだ。
よし決めた! 来年になったら本気出す! いや、ウソ! 今から本気出す! 
それでは、皆さんよいお年を〜!

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稲田ズイキ

いなだ・ずいき●僧侶。1992年京都の月仲山称名寺生まれで現・副住職。同志社大学を卒業、同大学院法学研究科を中退、その後デジタルエージェンシー企業インフォバーンに入社。2018年に独立し、寺に定住せず煩悩タップリな企画をやる「煩悩クリエイター」として活動中。コラム連載など、文筆業のかたわら、お寺ミュージカル映画祭「テ・ラ・ランド」や失恋浄化バー「失恋供養」、煩悩浄化トークイベント「煩悩ナイト」などリアルイベントを企画しています。フリースタイルな僧侶たちWeb編集長。Twitter @andymizuki
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竹内佐千子

たけうち・さちこ●漫画家。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子のレズビアン。
自身の恋愛体験を描いたコミックエッセイをはじめ、おっかけ、腐女子、などをテーマにしたコミックエッセイを描き続け、最近はストーリー漫画も描いている。
赤ちゃん本部長』(講談社)、『生きるために必要だから、イケメンに会いに行った。』(ぶんか社)など。
ホームページhttp://takeuchisachiko.jp/
Twitter @takeuchisachiko

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