よみタイ

稲田ズイキ「罰当たりなほどにユルくてポップな仏教トーク」
坊主なのに煩悩まみれ。
そんな俗世と浄土を行き来する、ユル〜い僧侶・稲田ズイキがお届けする仏教トーク。
聞いたことはあるけど詳しく知らない仏教の知恵を、罰当たりなくらいポップにわかりやすく変換していきます。

「お布施」は修行? クラウドファンディングに見る「現代のお布施」

僧侶ってどうやって収入を得ているんですか?

やっぱりどうしても気になっちゃうんでしょうか。いつも質問される。

素直に答えるのも野暮すぎるので、いつもは「ケツから出たピンクのマシュマロをハードオフで売ってま〜す」って説明してるけど、仕方ない。今回はぶっちゃけて話そう。

現在の僧侶の収入源のほとんどは「布施ふせ」だ。
そう、あのお経を読んでもらった後に渡しているあのマネーである。

実は、あのお金自体を「布施」とは言わない。
布施とは、相手に対して「与える修行」のことを指すのである。

と、こんなこと言っても「は? 坊主何言ってんの? 奈良時代帰れよ」って感じだと思うので、現代で布施にニアリーイコールな行為を挙げて考えてみる。

例えば、現在ブームとなっている「クラウドファンディング」。
「誰かをよく応援している!」と言う人もいれば、「なんで他人のためにお金を使うの?」と疑問に思っている人もいるだろう。

僧侶の僕からすれば、これは現代版の「お布施」である。

もしかすると、現在は「お金」の過渡期なのかもしれない。ギブ&テイクの時代から、ギブ&ギブの時代へ。
その橋渡しをするのは、2500年前にブッダが提案した「布施」なのだ。

布施とは一体なんなんだ

まず、説明しておきたいのが、前述したようにお布施とは「お経代金」ではないということだ。
仏教の本来の意味としては、布施とは修行なのである。まずは、そこを説明していこう。

仏教では、修行方法として6種類のものが挙げられている。
それが「六波羅蜜ろくはらみつ」だ。(トーストに塗りたくなるような響きしてない?)

六波羅蜜の中には、戒(マナー)を守ることであったり、精進(努力)することであったり、禅をすることが挙げられていて、その一つが「布施」なのである。

布施とは、自分が持っているものを与えること。そして、その与えるものの種類によって以下の3つに分類されている。

財施ざいせ」と「法施ほうせ」と「無畏施むいせ」だ。
例えば、現代において、お坊さんが法話をしたりするのはこの「法施」で、一般の方がお坊さんにお金を渡しているのは、この「財施」に当たる。つまり、お互いに布施をしているってこと。

また、財力や智慧が無くても施しができるとして「無財の七施」(七つの大罪みたいでテンション上がる)なんかも存在する。

さて種類はともかく、一番大事なのがこれらの行為がすべて「修行」であることだ。

いきなり僕から修行だと言われて、「おいおい坊主、いつから俺は冨樫マンガの主人公になったんだよ」と言いたい気持ちも分かるけど、セイセイ、クールになろうぜ兄者。仏教の世界観は「エヴィバディ修行」なのだ。目指すのは、皆が心を鍛えたらハッピーになれるWe Are The Worldな世界である。

すなわち、お金を与えることも、優しい言葉をかけるのも、すべて心を、徳を高めるため。お互いに与え合うことで、物質は最小限に、心は最大限のハッピーで生きる、いわば「ギブ&ギブの世界」が仏教である。

なので、与えた側は「与えたんだから、その代わり奢れよ」と見返りを要求したり、受け取る側も「いや、そんないただくなんて申し訳ないです」と受け取ることに卑屈になってはいけないとされている(そういうのを定めた「三輪清浄」というルールがある)。

と、まぁなんとなく言っていることはわかるとはいえ、みなさんの心の中はこのような疑問でいっぱいだろう。

「で、なに? 昔の価値観でしょ? 奈良時代帰るの? 古代インド帰りたいの? ねえねえ?」

実際にこんなコメントがきたらクソリプ供養してやりたいところだけど、ただ安心してください。

時代はまわるのだ。ブッダも中島みゆきもそう言っている。

なんと「布施」の仏教的価値観が、2500年経った今、この現代で最新のマネートレンドとして現れようとしているではないか。これには僧侶大歓喜!

そこで、一例としてクラウドファンディングに着目してみよう。
最初にも言ったが、僧侶の目線から見て、クラウドファンディングは現代の布施なのである。

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稲田ズイキ

いなだ・ずいき●僧侶。1992年京都の月仲山称名寺生まれで現・副住職。同志社大学を卒業、同大学院法学研究科を中退、その後デジタルエージェンシー企業インフォバーンに入社。2018年に独立し、寺に定住せず煩悩タップリな企画をやる「煩悩クリエイター」として活動中。コラム連載など、文筆業のかたわら、お寺ミュージカル映画祭「テ・ラ・ランド」や失恋浄化バー「失恋供養」、煩悩浄化トークイベント「煩悩ナイト」などリアルイベントを企画しています。フリースタイルな僧侶たちWeb編集長。Twitter @andymizuki
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竹内佐千子

たけうち・さちこ●漫画家。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子のレズビアン。
自身の恋愛体験を描いたコミックエッセイをはじめ、おっかけ、腐女子、などをテーマにしたコミックエッセイを描き続け、最近はストーリー漫画も描いている。
赤ちゃん本部長』(講談社)、『生きるために必要だから、イケメンに会いに行った。』(ぶんか社)など。
ホームページhttp://takeuchisachiko.jp/
Twitter @takeuchisachiko

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