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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ザ・青春のスニーカー。コンバース・オールスターを追加購入した理由

スニーカー」というのは1976年に創刊した雑誌『ポパイ』あたりが一般に広めた呼称で、それまでの日本では運動靴やズックと呼ばれていた。
確かに、僕が幼い子供の頃はズックと呼んでいた気がする。
ということは、1980年にリリースされた近藤真彦のデビューシングル『スニーカーぶる〜す』は、定着したばかりのファッション用語を盛り込んだ、おしゃれなタイトルだったんだな。
さすが、松本隆先生。

のっけから話はあさっての方向へ進んでいくのだが、続けます。
ファッション用語というのは陳腐化しやすいため、同じアイテムでも時代とともに、どんどん呼び名を変えられてきた。
「ズボン」が「パンツ」へ、「チョッキ」が「ベスト」から「ジレ」へ、「ジャンパー」が「ブルゾン」や「ジャケット」へ、「セーター」が「ニット」へ、「背広」が「スーツ」へ、「Gパン」が「ジーンズ」から「デニム」へ。
……ふう。他にもまだたくさんの例がある。

そう考えると「スニーカー」は比較的、長持ちした呼称だ。
だが最近、好事家の間ではアメリカの俗語である「キックス」が用いられるようになってきた。
まだ一般的に浸透しているとはいえないが、おしゃれ業界では“キックス派”が主流をうかがう情勢になってきている。

僕はというと、スニーカーは好きだが、やれレアモデルだ、ヴィンテージだ、最新テクノロジー搭載だと騒ぐ、マニアの気持ちは理解できない。
そこまでスニーカーに入れ込んでいるわけではないので、「キックス」なんて口に出すと、尻のあたりがムズムズしてくる。
だから当分は「スニーカー」と呼ばせていただこうと思っている。

2017年に登場したコンバース 100周年記念モデルはとにかく履き心地が違う

スニーカーなんて、履きつぶしてなんぼだと考えている。
ヨレヨレになるまで履き倒したうえで、限界がきたら、あっさり捨てる。
だから靴箱の中には常に数足のスニーカーしかないが、例外的に長年キープしているのがコンバースのオールスターだ。

オールスターといってもマニアさんは、やれメイド・イン・USAじゃなければとか、1970年代に製造されたヴィンテージに限るとか、シグネチャーモデル「チャック・テイラー」の復刻版が最上だとか言い出すのだが、そんなことはやっぱりどっちでもいい。

僕のオールスターはいつ買ったんだったか。
確か二十年近く前だったと思うが、よく覚えていない。
量販店で売られていた、まったくノーマルなオールスターだ。

“履きつぶし派”の僕がオールスターだけは長年キープできている理由は単純。あまり履かないからだ。
最近だと、年に2、3回も履いていないかもしれない。
でもたま〜に履くと清々しく、くすぐったい気分になる青春のスニーカー。
それがコンバース・オールスターなのだ。
このペースなら全然傷まないので、今持っている一足をおじいちゃんになるまでキープしよう。
……なんて思っていたのだが、実は最近、もう一足買い足してしまった。

オールスター発売100周年を記念し、2017年に登場したモデルだ。
アウトレットのコンバースストアで試し履きしてみたら、従来のオールスターとはまったく違う履き心地に驚嘆。
「これは!」と思って、お会計してしまった。

外観のデザインは100年変わらぬそれだが、インソールやボディ、それにタンが従来のものと比べると明らかに肉厚。
アウトソールもだいぶ違うようだ。
その他のディテールも随所に相違点があるそうだが、そういうのを追求するとマニアっぽくなるのでパス。
とにかく履き心地抜群。
オールドスニーカーは長時間履くと足が疲れてくるものだが、これはまったく大丈夫。
幾分ぼってりとボリューム感が増した外見も、かなり好みなのだ。

従来のモデル(黒)と100周年モデル(白)の2パターン持ちになったオールスター。
なんとなく気分が盛り上がっているので、今年はいつもより出番が多くなるかもしれない。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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