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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

サングラスはやっぱりレイバンのウェイファーラーが一番かっこいい

世の中にサングラスのブランドは星の数ほどあるが、なんだかんだ言って一番かっこいいのはレイバンだと思う。
なんたって、長い歴史と実績に裏打ちされた圧倒的な信頼感がある。
大人の男は、そういうのに弱いのだ。

1937年創業のレイバンは、光学レンズメーカーとして世界的に有名な、アメリカ・ボシュロム社の一部門としてスタート。
米軍からの依頼を受けて開発したパイロット用サングラスが第一号商品だ。
ボシュロム社にこの依頼をかけたのは、アメリカ陸軍航空隊のジョン・マクレディ中尉。
彼は1923年に北米大陸無着陸横断飛行を成功させた優秀なパイロットだったが、強烈な太陽光線を浴びる高高度空域の飛行中、目に大きな負担を感じ、頭痛や吐き気などの症状に襲われるという悩みを持っていた。

依頼を受けたボシュロム社は、すぐにパイロット用サングラスの研究開発をスタート。
しかし、視認性を犠牲にすることなく目を紫外線から保護するという難しい課題に、開発は難航。完成までに6年の年月を費やし、ようやく1929年に誕生したパイロット用サングラスは、のちに“レイバン・グリーン”と呼ばれ人気となる濃緑色のレンズが採用された。

フレームはティアドロップ型。翌1930年には、合衆国陸軍航空隊がこのモデルを“アビエーター(飛行機の操縦士)・モデル”という名称で正式採用する。
アビエーター・モデルは、“光線を遮る”との意味を持つブランド名・レイバンとともに、パイロットを象徴する画期的なサングラスとして、世界中に広まった。

カルチャー派も納得の歴史とうんちくが詰まったウェイファーラー

エルビス・プレスリー、ジョン・F・ケネディ、アンディ・ウォーホルなど、時代を先導した偉大なアメリカンガイから愛されたレイバンは、“いかにもアメリカ!”なブランドというイメージがあるかもしれない。
しかし創業から60年以上を経た1999年、ファッションブランドのアイウェアを扱う、イタリアのルックスオティカという会社に売却されている。

ボシュロム社時代は、世界トップクラスの光学メーカーの矜持から「光学的に眼を守らなければ、サングラスとは呼べない」という設立時の基本コンセプトを死守。
紫外線100%カットをはじめとする、機能性を重視したモデルが多かったが、売却以降は斬新なデザインを売りにしたファッション重視のモデルも数多くリリースするようになる。

しかし、数多いレイバン製品の中で、長きにわたってもっとも高い人気を持ち続ける定番中の定番が、70年近い歴史を持つウェイファーラーだ。

1960年代にボブ・ディランが愛用してからというもの、あまたのロックミュージシャンたちが身につけ、自由と個性と反体制のスピリットを表現するアイテムとして世界中の人々を魅了してきたウェイファーラー。
1961年の「ティファニーで朝食を」、1980年の「ブルース・ブラザース」、1983年の「卒業白書」など、現代に語り継がれるハリウッドの名作映画でも、主人公の個性を際立たせる小道具として登場した。

ひとつのアイテムがカルチャーの象徴として多くの音楽ファンや映画ファンから愛され、これほどの長い年月にわたりモデルチェンジもなく、各時代のトレンドに溶け込むように愛されてきた例はほかにあまり見当たらない。
僕は普段あまりサングラスをかけないのだが、ウェイファーラーだけはやっぱり特別な存在だと思っていて、フォールディングモデルを愛用している。

ところで、サングラスの代名詞と言ってもいいウェイファーラーだが、実は一型だけではなく、フレームの形もレンズの大きさもバリエーションがあるということをご存知だろうか?

僕が持っているモデルはRB4105という型番。レンズサイズはやや小さめの50mmだ。
こればかりは人それぞれの顔の形によるので、何がいいかは断言できないが、僕は店頭で複数をかけ比べてみて、これが一番しっくりくると思って選んだ。
フォールディングバージョンなので小さく折り畳むギミック感も楽しいし、持ち運びにも便利で最高に気に入っている。

多分、これからも浮気はしないかな。
サングラスはとりあえず、ウェイファーラーさえあればいいと思っているのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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