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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

悲運のダイソン羽根なし扇風機(初期型)をサーキュレーターとして活用

美人は三日で飽きるが云々……という言い回しを聞くと、我が家で3年前に導入したダイソンの“ホット&クール”という温冷両用羽根なし扇風機のことを思い出す。
届いた直後は、「すげえ。羽根ないのに風くる。未来」と一家で感動したものの、3時間ほどで「でもまあ、エアコンやファンヒーターと同じだよね。あれも羽根なんか見えないけど風はくるし」と気づいてしまった。
そして回転羽根がないのに、意外と音がうるさいことが鼻につきはじめ、三日後にはぞんざいな扱いを受けるようになったのだ。

いや、ディスっているわけではない。
普通の扇風機だと思えば、大きな作動音もそんなものだろうし、涼風を送り届ける機能はちゃんとしている。
それに、うちではあまり使わないけど、冬は温風も出せるのだ。
スタイリッシュなデザイン性も合わせ、なかなかの優れもの家電であるとは思うのです。

羽根がないのに! と期待しすぎるのは、実力が追いついていないのに鳴り物入りでプロ入りする高校球児みたいで、むしろかわいそうだ。

縦長コンパクトデザインはやっぱり秀逸。でもやっぱり美人だけどやかましいのだ

などとダイソンの羽根なし扇風機を上げたり下げたりしても仕方ないが、今年はどうもサーキュレーターがヒット商品のようですね。
空気を循環させなければという、コロナ対策の一環からはじまったものらしい。

ところでサーキュレーターと扇風機の違いはご存知?
サーキュレーターは人の体を涼ませる目的ではなく、空気を循環させて部屋の温度を調整する働きを担うもの。だから、直線的な強い風が出る。
一方、扇風機は体に当てて涼むものだから、比較的ワイドでマイルドな風が出る。
でもその差はさほど大きくなく、どちらかがあればもう一方の機能も代行することはできるのだそうだ。

我が家には一台、専用のサーキュレーターがあるが、それはリビングで使っている。
だから僕は、買った当日だけキャーキャー言われたかわいそうなこのダイソンを、今年から仕事部屋のサーキュレーター兼扇風機として採用することにした。
あっという間にスターの座からおりた落ちぶれダイソンを、我が部屋に引き取って改めて見てみると、コンパクトな縦長デザインはとても端正で、やはりなかなか愛いやつではないかと思うのだ。

しかし、いかんせん音がデカい。
まるで、ひっきりなしに大声でしゃべりつづける美人のようだ……。
ただし、僕が持っているのはAM05という数年前の初期型で、今はAM09という後継機種がある。それに、空気清浄機能が追加された進化系も発売されている。
それらの後継機は、相当の静音設計になっているのだとか。

でも、扇風機って一度買うとなかなか買い直さないからな。それ昭和何年製? っていうクラシカルな扇風機を使っているおばあちゃんちなんて多いもんね。
もう少し、このホットでクールなやかましい美人ちゃんと付き合うしかないのかもしれない。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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