よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

カラオケは、自前のマイク&アンプを使って自宅で楽しむに限る

先日、コロナの緊急事態宣言解除後、初めて飲みにいきました〜。
渋谷道玄坂ラブホテル街のど真ん中にある、最高にうまい焼肉屋「どうげん」にてがっつり肉を食べたあと、その日のメンバーの恒例コースとなっているカラオケへ……。
行ったわけなのだが、なんだかめちゃくちゃ後ろめたかった。

カラオケ屋はもう普通に営業しているが、なんのかんの言っても「密」になりやすい空間であることは間違いないし、実際にクラスターも発生している。
第一、僕はその日の出がけに妻から「カラオケだけは行っちゃダメ。行ったら二週間隔離」とクギを刺されていたのだ。
でも、辛抱たまらなくて行っちゃったぜ。

妻には内緒にしとこうと思ったんだけど……。
僕はカラオケに行くと必ず、ラモーンズとかクラッシュとかダムドとかシャム69とかコブラとかラフィンノーズとかスターリンとかガスタンクとか、往年のパンクを歌いまくる癖がある。
そして終わった頃には、声がガラガラに枯れているのが常なのだ。

カラオケ屋さんは23時までの短縮営業だったので、早々に家へ帰り着いたら妻がまだ起きていた。
なるべく小さな声で言った「ただいま〜」の一声でバレたからね。
「はい、カラオケ行ったね」って。
勘のいいこと。

浮気とかって、きっとこんな感じでバレるんだろうな。
いや、してないけど。

昔のオヤジが持っていたみたいな専用機はなくても、本格カラオケは楽しめる

そんな様々な恐怖を抱きつつビクビクしながらカラオケ屋に行くよりも、しばらくの間は家で楽しむのがいいのではないかと思った次第です。

僕は学生時代からバンドをやっていて、社会人になってからもちょこちょこと活動を続けていた。
前にもこのコラムで書いたが、僕のパートはヘタッピボーカル。だから練習するときも、基本は手ブラでスタジオに赴いていた。

でもあるとき、スタジオ備え付けのマイクが我慢ならなくなった。
だってアレ、きっちゃないからね。
みんなが口をくっつけて、思い切り唾飛ばしまくりながら歌うからね。
それこそカラオケ屋さんのマイクはきれいに殺菌消毒されているけど、当時のバンドの練習スタジオのマイクって、そのへんの管理が適当だったはず。

見るからに汚いし、なんか変な匂いがすることも多くて、すごくいやだった。
それで、Myマイクを買うことにした。
機種はSHUREのSM58。知る人ぞ知る、ボーカルマイクの名機である。
バンド活動から遠ざかったいま、無用の長物になっていたんだけど、今回はこれを引っ張り出した。
そのマイクを、前から持っていた家庭用ミニアンプにつなぐ。
アンプの機種はイギリスの老舗、ORANGE社のMicro Crushだ。

電源をOnにして歌ってみたら、ちょっと感動した。
生声で歌うより、ずっとカラオケ気分になって楽しいのだ。
そういえば、昔のおとっつぁんはみんな自宅にカラオケセットを持っていたもんな。
いま、その気持ちがよくわかった。
カラオケ専用機はなくても、スピーカーにつないだiPadで音楽を流し、歌詞を表示させつつマイクで歌えば、これはもう立派なカラオケ。
妻も娘も大喜びしているので、今宵も家庭内カラオケを開催したいと思います。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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