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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

サッカー部野郎は許しがたいけどサッカーファッションはかっこいい

50歳を越えた今になってもときどき夜中に突然ガバッと目が覚めて、「サッカー部のあの野郎ぶん殴ってやりたいのさ!」(©️銀杏BOYZ)と気持ちがたかぶることがある。
これは、臭いことで有名な剣道部だった僕のような非球技系運動部出身者、あるいは文化系部活および帰宅部出身者あるあるだ(ほんとか?)

サッカー部野郎に直接的な恨みはない……。
多分なかったと思う。
なかったんじゃないかな。
まあ、忘れた。
今ももちろんだけど、プロリーグ設立の機運がいよいよ高まっていたあの頃(1980年代後半)、サッカー人気は抜群だった。
サッカー部は花形でモテモテだった。要するにうらやましかったのだ。

それならサッカー部に入ればよかったじゃんかと、人は言うかもしれない。

だが僕は球技が下手だった。
寄ってたかってボールを奪いあうのがいたたまれず、「何をそんなに必死になって……。欲しけりゃやるよ」という気分になる。
テニスやバレーボール、卓球なども、相手が嫌がる場所にわざわざボールを打ち込むような性悪な真似はできない。
要するに向いていないのだ。

本当を言えば、剣道部だろうが将棋部だろうが天文部だろうが帰宅部だろうが、かっこいいやつはかっこいいしモテるやつはモテる。
竹内涼真がもし漫画研究会を選んでいれば、その学校では漫研が花形だったはずだ。
それにしてもサッカー部は……。
まあいいや。

懐かしのマッドチェスター気分に浸れるアンブロのオーバーサイズなサッカーシャツ

前にもこのコラムで書いたが、僕はスポーツ観戦にもほとんど関心がない。
サッカー選手で今は誰が人気なのかなんて、4年に一度のワールドカップの頃にならないと分からない。
でも、サッカーのファッションアイテムには少し興味がある。

1960年代〜のスキンヘッズ、1970年代〜のペリーボーイズ、1980年代〜のカジュアルズといった、英国のワーキングクラス系ストリートカルチャーが好きだからだ。
地元意識の強い彼らは、自分たちが一番かっこいいと思うスタイルでサッカー場に集まり、贔屓のチームをサポートすることに命をかけていた。
要するにフーリガンカルチャーだけど、1980年代終わり〜90年代初頭に僕がどっぷりハマったマッドチェスターもこの流れの中にあった。
当時、ダボダボのサッカーシャツを着るのが最先端“おマンチェ野郎”だったのだ。

大学生だった僕は、古着屋で見つけたオーバーサイズのサッカーシャツを、バギーパンツに合わせて着ていた。
特にイケていたのは、マンチェスター生まれのフットボールブランドであるアンブロ。
マッドチェスタームーブメントの中核であるザ・ストーン・ローゼズのイアン・ブラウンも、一世代後のブリットポップだけどマンチェスター出身でマッドチェスタームーブメントの影響色濃いオアシスのリアム・ギャラガーも、よくアンブロを着ていたっけ。

そんなことを思い出しつつ、久しぶりに買ったアンブロのサッカーシャツ。
袖を通せば気分はおマンチェ。最高。
非常に個人的かつアナクロチックな話ですが。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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