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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ギャルソンの白シャツをかっこよく着こなせる男になりたかった!

本当にかっこいいのは、シンプルな白いシャツを着こなす男……。
なあんてイケメンなことを口走る輩がいますが、それは概ねあっていると思う。
やっぱり白シャツは基本です。

個人的な“タイムレスな逸品―シャツ編―”というテーマが与えられたら、どんなものが思い浮かぶだろうか?
モッズやスキンズといった往年のブリティッシュカルチャー好きな僕はまず、フレッドペリーのライン入りポロやベンシャーマンのチェック柄ボタンダウンなど、このコラムでも紹介してきたオーセンティックなシャツを思い出す。
そしてクローゼットの中を改めて見て思ったのが、このコム・デ・ギャルソンの白シャツもそのひとつだなあということ。

世代的に、ギャルソンは常に一目置くべき特別なブランドであり続けてきた。
高校生時代、財布を握りしめて一大決心をし、吉祥寺パルコで胸に「GARCONS」とプリントされたロゴTを買ったのが、最初のギャルソン体験だった。
以来なんだかんだと、ここ一番のときには東京・青山のショップを訪れた。

30代の一時期ちょっと遠ざかったのは、僕が当時編集長をやっていた若い男性向けファッション誌にギャルソンが服を貸してくれなかったからだ。
マスコミ業界用語で“媒体選択”というやつでよくある話だけど、ブランド側はイメージに合わない雑誌には貸し出しを拒否する。
僕のつくっていた雑誌は確かにガチャガチャした雰囲気だったけど、よく見てもらったら一本筋が通っているとわかってもらえたはずなのに。それに、編集長自身がこんなに好きなのに。
悔しさの反動で、「ギャルソンなんかクソだ!」と恨んでしまったわけだ。一瞬だけね。

気に入って長年着こんだ白シャツの宿命は衿ぐりの黄ばみ汚れだが

でもやっぱり、すっかりおっさんになった今でも、好きなんだなこれが。

この白シャツは、いつ買ったものかも忘れたが、少なくとも10年以上は経っている。
僕の好きなUKカルチャーの匂いを感じるようなものではないし、なんの変哲もない形に見えるけど、やっぱり袖を通してみると「さすがギャルソン!」と思うんだよね。
言葉ではうまく説明できなくて、もどかしいけども。

どんな服にもさらっと合わせられるので、コンスタントに着つづけてきたギャルソンの白シャツ。
僕にとっては本当にタイムレスなスタンダードだが、長年着たまっ白シャツの宿命として、衿ぐりに洗濯では落ちない黄ばみが出てきていて、そろそろサヨナラなのかもしれない。
毎日、適当なカジュアルスタイルで過ごす僕には、白シャツは一枚あれば十分。
これがダメになったら、次はどこのにしようかな。
またギャルソンかな。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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