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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

コロナ明けは釣りにいこう! ウブなお魚が待っているはずだから

某芸人の深夜ラジオでの発言は救いようがなく、批判されて然るべきものだと思うけど、ここで僕がとやかく言うものでもない。
ただ、もしかしたらいま僕が画策していることって、あの芸人の思考回路と同一線上なのかもと少し心配になったので、一応あらかじめ言及しておこうと思った次第である。

いま僕はこう思っているのだ。
コロナ禍による忍耐生活が終わったら、きっと楽しいことがたくさん待っている。
アレもしたいコレもしたい……。そうだ、とりあえず釣りにいこう!
コロナ明けの釣り場には、スレていない可愛いお魚さんがいっぱいいて、きっと入れ食いだぞ〜、と。

僕が好きな釣りは、自然の渓流や、渓流を利用した管理釣り場でやる毛鉤けばり釣り。
毛鉤釣りでメジャーなのは、イギリスの貴族スポーツから発し、アメリカのアイビーリーガーの間でも好まれた格調高きフライフィッシングだが、僕が好むのは日本土着の伝統釣法である“テンカラ”だ。

シンプル至極のタックルだけど釣れまくるテンカラは最高

僕がかつて、渓流で毛鉤をやりたいと思い立ったきっかけは、ブラッド・ピット主演の米映画『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)を観たからだった。
物語の舞台は1910〜20年代のアメリカ・モンタナ州。厳格な牧師の父と真面目で秀才の兄、陽気な弟(←ブラッド・ピット)の三者三様な生き様を瑞々しく描いた、最高の映画だ。
特にいいのが三人に共通する趣味であるフライフィッシングのシーン。
アメリカの雄大な流れの中でやるマス釣りには、この映画を見た誰もが憧れるはずだ。

で、まんまとフライフィッシングをやりたくなったのだが、よくよく調べてみると、長い糸とリールを使うフライは、幅が狭く樹木の多い渓が多い日本、特に自分が気軽に行ける関東周辺にはあまり向いていない釣りだということがわかった。
でもブラッド・ピットのように……と諦めきれなかった僕が行き着いたのが、日本の風土のなかで発展したテンカラだった。
テンカラは本当に最高よ。手軽で楽しいし、とてもよく釣れる。

テンカラの一番の良さは、タックルが非常にシンプルだということ。
だって、竿と糸(正確にはラインとハリス)と毛鉤、最低限この三点があれば成立する、おそらく世界でもトップクラスのシンプル釣法なのだ。
糸が絡まったりリールなどの道具が作動しなくなったりといった、釣りにつきもののトラブルがテンカラではまず起こらないので、ひたすらキャスティングに集中できる。
まあ、テンカラについては世の中にもっと詳しい人が山のようにいるので、このへんにしときましょう。

で、海釣りと違って狭いポイントを釣り師が次々に攻める渓流釣りでは、魚がスレていてなかなか釣れないことがある。
ヤツらは魚といえどもなかなか頭がよく、毛鉤の寸前まで迫りながら、気付いてプイっと方向を変えて逃げていったりする。
水が浅い渓流ではそうした魚の動きもよく見えるので、とても悔しい。

でも、人があまり入っていないポイントだと、お腹をすかせたウブな魚がたくさんいて、わりとホイホイかかってくれる。
いま、良識ある人々は外出を極力自粛しているから、渓流も人は少ないようだ。
管理釣り場は休業しているところも多い。
だからコロナ明けは狙い目だと思うのです。

待ってろよ、ウブなお魚ちゃん!

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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