よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

他人とは会わない毎日だから、ゴミ寸前の“いらんTシャツ”が大活躍

人は誰しもある程度長く生きていると、おりのように“いらんTシャツ”がたまってくるものではないだろうか。
一時の気の迷いで買ったものとか、業務上のイベントで使ったものとか、不意に誰かからもらったものとか。

僕はそんなTシャツを結構たくさん持っている。
どんどん捨てりゃいいじゃないかという声が聞こえてくるようだが、捨てられないんだなこれが。
アンチ断捨離ストという、我ながらいかがなものかと思う称号を持つ僕は、絶対に着ないTシャツにも愛着を感じ、なかなか手離すことができない。

だったら寝間着にすれば? と言うかもしれない。
でも男性ならわかってもらえると思うけど、肌に直接触れるシャツに寝間着の概念ってなくない?
風呂から上がって新しいTシャツを着たら、そのまま寝て起きて、翌日一日中着ていることになる。
Tシャツなんて、朝、わざわざ着替えないよ。
翌日の日中も着られるものを選ぶから、結局“いらんTシャツ”はずっと出場機会がないわけだ。

一瞬だけ家族を盛り上げることができるのが“いらんTシャツ”の唯一の効能

ところが、なんていうことでしょう。
何年もクローゼットの最深部にしまっていた僕の“いらんTシャツ”。
最近は活躍しているのです。
巣ごもり生活のためだ。
不要不急の外出を避け、ほぼ家の中にずっと閉じこもりきりの毎日。
他人に会う機会もないのだから、服なんてはっきり言ってどうでもいい。
ヤバイよねー、このままでは。早くなんとかならないかな。疫病退散!

僕の“いらんTシャツ”コレクションの一部をご紹介しましょう(需要あるかなー?)。
「こんなの従業員以外の誰が着るの」と言いたくなる真っ赤なマクドナルドTシャツ。
いつどこで買ったのやら、さっぱり覚えていないWWFのパンダTシャツ。
伊東のハトヤホテルに泊まったときにノリで買った温泉鳩Tシャツ。
そして前職である雑誌「smart」のイベントのときにつくったロゴTシャツ……。

“いらんTシャツ”の効能をひとつだけ挙げるとするなら、風呂上がりにこういうのを着て突然家族の前に現れると、一瞬だけ「キャッキャ」と盛り上がって家庭が明るくなるのです。
効果は10秒ほどだが。

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

週間ランキング 今読まれているホットな記事