2020.10.15
予約はすでに来年以降! グルメの猛者たちを骨抜きにした“最幸“の中華が“最強“メンバーで復活!!〜わさ
これでもか! とやってくる“最幸”の料理もとうとう〆となりました。
まずは八雲の時から絶品と評判の「葱炒飯」を。
蓋を開けると閉じ込められていた湯気とおいしい匂いが一気に広がり、食べる前からお代わりしたい衝動に駆られます。
山下さんの炒飯はパラパラなのにふんわりでしっとり。
どうしてこんな仕上がりになるのか不思議でならなかったのですが、この度、その謎が解けました。
秘密は葱の下ごしらえにあり!
山形の「寅ちゃんねぎ」を4時間おきに4回紙を変え、葱の中にある余分な水分を取っているそうです。
それだけで誰もがこの炒飯を作れるとは思いませんけどね〜、他に秘密はないって言い張るので信じることにいたします。
底には搾菜が敷いてあり、途中から混ぜていただく仕掛けに舌がさらに喜ぶ!
何度食べても感動を与えてくれる炒飯です。
次は名物の汁なし担々麺をいただきます。
麺は充電期間中にご縁をもらった、ラーメン好きで知らない人はいない湯河原の超名店「らぁ麺 飯田商店」の飯田将太さん直伝の手打ち麺と、ずっと使い続けている「冨士麺ず工房」の別注サイズの細麺を合わせたもの。
手打ち麺はコースのスタートとともに生地を練り始めます。
国産小麦粉と水(RO水と活性炭水)も飯田商店で使っているもの。
山下さんが“ラーメンの親方”と呼ぶ飯田さんは味だけではなく安全にもこだわっているので、同じ味を作るには同じ材料でなくてはと徹底しています。
山下さんの自家製調味料、椒麻ソースとか山椒油とかXO醬とか辣油とか、どうしようもなくおいしいのです。
販売したら大ヒット間違いなし。
この中国の肉味噌、炸醬も然り。
甘みと辛みと旨みの織りなす複雑妙味、繊細と思わせながら尖っている忘れがたい味わいなのです。
おまけに炸醬、麺、葱、香菜との比率がパーフェクト!
困るなぁ、他で食べられなくなってしまうではないか。
最後のデザートは「杏仁豆腐」です。
侮るなかれ!
おそらく今まで食べたものとは別モノです。
「ひと口目は豆腐だけ、ふた口目は杏仁スープと一緒に食べてみてください」と言われ、ひと口。
ふむふむ、つるんとしておいしい。
ふた口目、え? 豆腐が消えた???
秘密は何? と訊けば驚いたことに「わからない」との答え。
10数年、同じ食材、同じ方法で作っているのに分離してしまうことが何度もあったそう。
「試食は家内にお願いしています。スプーンを入れた瞬間に失敗したとわかるのが怖いので」と、山下さんほどの料理人の言葉と思えずクスリと笑ってしまいます。
以前と比べて最も変わったのは孤高の料理人だった山下さんにチームができたこと。
師匠に「基本は自分ひとり、頼るな」と教えられ、守り続けてきた山下さんでしたが、今は味に寄り添い高みにあげてくれるソムリエがいて、ホールとゲストと厨房をつなぐ麻理衣さんがいて、最高の麺に仕上げる職人がいて、お店を一緒に盛りたててくれるオーナーがいる。
そして山下さんをワクワクさせる食材と生産者さんに囲まれています。
普通、オープン直後は“慣らし運転”があるものですがフルスロットル、エンジン全開状態で、このチームで料理ができる喜びがすべてのお皿に表現されています。
料理ができることがこんなにも幸せと言う山下さん、そのお料理をいただける幸運に感謝したいと思います。