2020.9.3
記憶にくっきり残るおいしさ! イタリア大好きシェフの料理はリピートせずにはいられない〜マンサルヴァ
通常はコースとアラカルトがあるのですが、いまは6,500円と8,500円のコースのみ。
遅いスタートの時はアラカルトが嬉しかったのですが、まったく、コロナめ。
でもこんなアミューズが運ばれてくれば、いっぺんで気分がアガるってものです。
アミューズはシャンパーニュに合って季節を感じさせるものと決めているそう。
ということでトウモロコシです。
甘みの強いホワイトコーン、香りといえばゴールドラッシュ、この2種類のトウモロコシを塩水だけで煮て濃厚なピューレでデコレーションしています。
ピューレの中にはなんと粒のトウモロコシとフォアグラのパテが隠れていてびっくりです。
この小さなお料理がこんなにも大きな感動を呼ぶとは!
アミューズから心も胃袋もガッツリ掴まれてしまいました。
基本的に野菜と魚介で前菜を作る高橋さんですが、「仔牛のスネ肉 夏豆 マッシュルーム」はレア中のレア、お肉の前菜です。
夏のイタリア料理である「ネルヴェッティ(仔牛のアキレス腱の煮こごりみたいなもの)」にスネ肉を混ぜ、インゲン、スナップエンドウ、モロッコインゲン、大麦、ベビーリーフをマッシュルームのピューレの上にのせてあります。
際立つのはマッシュルーム!
スライスしてもクリーミーなピューレもおいしすぎます。
次は毎年欠かさない鰯料理。
これには手間をかけているそう。
まず砂糖と塩とたっぷりのタイムでマリネして香りを纏わせます。
食べてもわからない程度なのですが、これをすることで仕上げにのせるハーブとの一体感をもたらすのです。
そしてこれを40度のオイルで火入れして“瞬間オイルサーディン”の状態に。
ここまでが下準備。
それからじっくり焼き上げたところに甘口のシェリー酒をスプレーして照り焼きにします。
イメージは鰯のみりん干し。
しっかり味が付いているので茄子とパプリカとセミドライマスカットで作るスペインのカポナータ、そして燻製リコッタチーズと一緒に食べることで緩和させるのがミソ。
鰯でみりん、燻製リコッタチーズで鰹節、そして周りに散らしたスマック(ヨーロッパのうるし)で梅しば漬けと、“洋”の要素しか使っていないのに“和”を感じさせるひと皿に仕上がっています。
説明を訊けば緻密な計算の元に完成されたお料理だとわかりますが、食べている時は“手間をかけてます感”を押し付けることなく、複雑味の妙をしみじみ感じるだけなのです。