2020.7.9
「非公開の店」その4~秘密の扉の向こうに素晴らしいワインと料理のペアリングが待っている〜アリゴトゥール
ここでシャンパーニュが注がれシュワシュワで一旦リセットしたところに、手前から順に食べるよう指定された次の料理。
まずは鯵の燻製です。
来店と同時に仕込みをするので、おろしたての鯵の食感がまた格別。
ところが目的は鯵を食べるというより口内を燻製の香りで充満させることだそうです。
そこで、真ん中のアヒージョへ。
するとアンチョビオイルの香りと油がプラスされ、口の中がいい感じに仕上がってくる。
ここで真打ちの「マグロのタルタルとカラスミ」をひと口で。
この順番で食べると生臭さを感じるはずのこの組み合わせが、あら不思議、うまみの共演となったのです。
なんとも粋なことしてくれるじゃないですか。
さらにこの余韻を残したままオマールエビにつなげると、甲殻類独特の香りとうまみ、そして細かく刻んだパプリカやズッキーニなどの野菜の食感が、ますます口内に複雑味をもたらす。
これは音楽に例えるとソロから二重奏、三重奏、四重奏と音が重なり広がっていくのと同じ感じです。
そのハーモニーたるや!
まだまだ海の幸が続きます。
これまた人を喜ばす巨大な黒アワビがやってきました。
これを見て雄叫びをあげない人がいるのでしょうか、というくらい大きくて分厚いです。
さて、これがいったいどんな料理になってくるのかというと……
こうなりました。
歯切れが良い加減のレアに火が入った磯の香りいっぱいの立派な黒アワビがとろんとした青海苔餡を纏うと、シンプルで素朴だけど贅沢な味わいが舌と頭を覚醒させ、海の幸ってこういうことなのだと実感します。