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「非公開の店」その4~秘密の扉の向こうに素晴らしいワインと料理のペアリングが待っている〜アリゴトゥール

「綾子さんに聞けば間違いない!」――美味なレストランも気の利いた手土産もとびきりのお取り寄せも、おいしいものには死ぬほどうるさいギョーカイのみんなが頼りにするのが、フードパブリシスト高橋綾子のグルメ手帖。誰もがうなる美味の数々を惜しげもなく公開します!

久々の「非公開の店」シリーズ(非公開の店123)です。

今までの非公開のお店同様、こちらもなかなかの強者でございます。
完全紹介制のこのお店、住所は調べるとわかるので、何とかなるのではと突撃しようと試みてもエレベーターでお店の階のボタンが押せずにあえなく玉砕します。

でもその扉さえ開けば、おいしい料理に天才的とも言えるワインペアリング、何時間でも居たくなる心地よさ、本当に素晴らしい時間を過ごすことができるのです。

田口さんとの会話もまたこの店に来る理由のひとつ
田口さんとの会話もまたこの店に来る理由のひとつ

そんなお店「アリゴトゥール」は、7〜8人のカウンターと3〜4人の個室。

できればカウンターを陣取りたいですね。
だって、このお店に来るほとんどの人はお料理とワインがおいしいからだけでなく、店主の“田口浩平さんのお店だから”なのですから。

シグネチャーの「コンソメスープ」
シグネチャーの「コンソメスープ」

さて、前置きはこのくらいにしてお料理をご紹介しましょう。

最初に出されたのが「仔牛のコンソメスープ」でした。
蓋を開けると「え、コーヒー?」と間違えるほどの色。
「トリプルコンソメ」と言って、なんと仕込みに5日間かけているそうです。

「コンソメは横着できない」と言う田口さん。
香りが詰まって初めて裏ごしができ、その裏ごしは油などの不純物を取りきるまで徹底して行うそう。
お料理したことがあればわかると思いますが、あの油の玉をひとつ残らず取るのは気が遠くなる作業です。
そうやって手間暇かけて作ったコンソメは次元が違いました。

しかもここはワインバー、余ってしまったとってもおいしい赤ワインが入っているので、それはそれは香りとコクが豊かです。
コンソメで胃袋をガッツリ掴まれたのは久しぶり。

「白子」にペアリングしたのは甘い「ソーテルヌ」
「白子」にペアリングしたのは甘い「ソーテルヌ」

二品目は富山県産の「白子」。

ほんのり桜色のこんなにキレイな白子も久々です。
見るからに新鮮で上質とわかります。
「これだけ状態が良いと湯通しすらする必要がない。いじる必要がないものは何もしません」と言われるとおり、プリップリでトゥルントゥルン。

合わせたのはデザートワインとして飲むことが多い「ソーテルヌ」。
こんな前半戦に持ってくるとは大胆ですが、その理由は、お腹が空いている、すなわち低血糖な状態にほんの少し糖分を足すと気持ちが落ち着き食欲が増してくるからなんですって。

はい、おっしゃる通りです!

「冷」の次は「温」の白子
「冷」の次は「温」の白子

その白子を今度は揚げてきました。
サクッの後にくるトロットロがたまりません。

これにはワインと同じくらい種類が豊富なシェリー酒を。
白子のおかげでクイっといっちゃいました。

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新刊紹介

高橋綾子

たかはし・あやこ●フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレス時代から培った〝食″へのこだわりは、舌の肥えた業界人も頼りにするレベルの高さ。年間1000を超えるという外食の日々が築き上げたおいしいもの好きが嵩じて、ついに2018年2月に東京・下北沢にてレストラン「üchï(うち)」をオープン。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
Facebook→https://www.facebook.com/ayako.takahashi.1671

uchi→http://uchi.tokyo/

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