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スズメバチに刺された悲劇の夜…秋は攻撃性が増すので要注意!

刺されたところを中心に痛みがズッキンズッキンくるのですが、ズッキンズッキンするたびに痛みが頭全体、首、肩へと降りてきました。まるで、不定形のオーラが広がるネフェルピトーの円のようです(『HUNTER×HUNTER』がわからない人ごめんなさい)。

ネッタイヒメスズメバチなど、ツマグロスズメバチとよく似た別の種類だった可能性もあります。
ネッタイヒメスズメバチなど、ツマグロスズメバチとよく似た別の種類だった可能性もあります。

経験したことのない痛みの広がり方に、アナフィラキシーショックの不安が頭をよぎります。

ハチに刺された際、ハチ毒によるアレルギー反応で、かゆみや発赤、嘔吐や寒気などの症状が出ることを、アナフィラキシーといいます。呼吸困難や意識障害など重篤な症状、つまりショック症状を引き起こしていれば、アナフィラキシーショックと呼ばれます。

ハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーショックは、複数回・同種類のハチ毒が入って発症することが多いとされ、「2回目以降ハチに刺された人は要注意」などといわれることがあります。
しかし実は、1回目なら大丈夫という保証はありません
刺された回数によらず、体質などによってその症状の度合いは様々です。

また、2回目以降に刺されたハチの種類が違えば毒成分が異なるので危険度が下がるかといえばそうでもなく、種によっては毒成分が似ていることもあります。

つまり、刺された回数やハチの種類に関わらず、アナフィラキシーショックの危険性はあるわけです。
個々人の体質による部分もありますから、ハチのいる場所に頻繁に行く必要があるなど、不安がある人は、事前に医師に相談するしかないでしょう。

剛毛のせいでさらなる悲劇が……

そんなわけで、慌てた仲間がポイズンリムーバー(毒を吸引する道具)を持ってきてくれたものの、私の剛毛すぎる毛が邪魔をして道具が患部にうまく吸い付かず、失敗。思わず友人失笑。くそぅ。

病院のある街まではジープで5時間以上かかるジャングルの中。意識や呼吸に問題はなかったので、ドクターヘリを呼ぶのも気が引けます。
結果論でほめられたことではありませんが、あれこれ思案しているうちに、時間が経ち、呼吸困難、意識障害など、痛みの広がり以外の症状が出なかったことでアナフィラキシーショックはないだろうとなりました。

ただ、帰国後に医師に症状を話したところ、「いまは治まっているので推察だが、ハチに刺された場合、通常はその部分だけに症状が出る。痛みが広がったとのことでショック症状はなかったにせよ、アナフィラキシーは起こっていたのかもしれない」とのことでした。
確かに、コンゴで刺されたときはその個所だけが痛んでいました。

ツマグロスズメバチに刺された日は、あまりに痛みが強く一睡もすることができませんでした。しかし、翌朝は3時起きでゾウを探しに行こうとなっていたので、まあ寝坊せずにはすみました。幸運なことに、夜明けには痛みもほとんどひいていました。
そして、日が昇ったまさにそのとき足元にサソリとヘビ発見!
懲りずに撮影する私なのでした。
ハチ毒以前に、生き物中毒におかされているようです……。

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新刊紹介

大渕希郷

おおぶち・まさと●どうぶつ科学コミュニケーター
1982年神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程動物学専攻、単位取得退学。その後、上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館:科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教(日本モンキーセンター・学芸員 兼任)を経て、2018年1月に独立。生物にまつわる社会問題を科学分野と市民をつなげて解決に導く「どうぶつ科学コミュニケーター」として活動中。
夢は、今までにない科学的な動物園を造ること。特技はトカゲ釣り。
著書に『新ポケット版 学研の図鑑絶滅危機動物』『新ポケット版 学研の図鑑 爬虫類・両生類』(いずれも学研教育出版)、『絶滅危惧種 救出裁判ファイル』『動物進化ミステリーファイル』(いずれも実業之日本社)、『どうぶつ恋愛図鑑』『へんななまえのいきもの事典』(いずれも東京書店)など。最近は、「こども環境地球儀ハトホル」(渡辺教材教具)など教材開発にも関わる。愛称はぶっちー。
公式ホームページ: http://m-ohbuchi.com/

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