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大渕希郷「動物ふしぎ観察記」

恐竜と鳥はワニの子孫? 「ワニの鳴き声」が教えてくれること

世界初の「どうぶつ科学コミュニケーター」として、講演活動やフィールドワーク、執筆活動など幅広く活動中の大渕希郷さん(通称・ぶっちー)。
動物まみれのめまぐるしくも愉快な日常とは……!?  
生き物の知られざる生態についても、自筆のイラストとともに分かりやすく解説します。
動物の専門家によるお仕事&科学エッセイです。

前回は、ジャングルの奥地でスズメバチに刺された際の体験談でした。
今回は、先日イグ・ノーベル賞を受賞したことでも注目を集める「ワニの鳴き声」について解説します。

ワニの鳴き声に関する研究が、イグ・ノーベル賞を受賞!

9月17日、「イグ・ノーベル賞」の受賞者が発表され、ワニにヘリウムガスを吸わせて鳴き声の仕組みを研究した京都大学の研究者が、イグ・ノーベル賞の音響学賞を受賞しました。

かつて上野動物園の両生爬虫類館のスタッフとして働いていた私。同館にも、イリエワニ、ニシアフリカコガタワニ、マレーガビアル(ガビアルモドキ)が飼育展示されており、とても興味深いニュースです。

抱いているのはニシアフリカコガタワニの赤ちゃん。
抱いているのはニシアフリカコガタワニの赤ちゃん。

その研究の概要は様々な媒体で報道されているので、そちらを参考にしていただけたらと思いますが、要は、ワニの発声のしくみの解明についてヘリウムガスを用いるというユニークな研究なのです。

そこで今回は、「ワニって爬虫類の中でもめちゃくちゃコミュニケーション上手なんだぜ!」ということを中心に、私なりにワニのおもしろポイントをお伝えしたいと思います。

ワニから恐竜、そして鳥へ

そもそもワニって鳴くの? と思った方もいるかもしれません。

ワニ類は、今回のヘリウムを使った研究の説明でも出てきていましたが、鳥類に近い動物です。
厳密に言うと、「いまこの地球上に生息している動物の中では」と、但し書きがつきます。系統的に、ワニ類と鳥類の間には恐竜類がいたからです。
進化の説明については長くなるのでまた別の機会に譲りますが、ともかく、「ワニ類は恐竜類を間に挟んで、鳥類にもっとも近縁な現生の動物である」というのは、実は動物学者の間では常識です。

「え!(ワニと鳥って)似てないやん!!」と、思う方もいるでしょう。
確かに見た目は全然違いますが、生態をみていくと実は共通点も多いのです。

まず、鳥もワニも、巣を作ったり子供を保護したり、群れで行動します。その際に音声でコミュニケーションもとります。
鳥が鳴くのはみなさん、よくご存知かと思います。世界各地におよそ1万種もいる鳥類の鳴き声を、生まれてこのかた聴いたことがない! という方はいないでしょう。

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大渕希郷

おおぶち・まさと●どうぶつ科学コミュニケーター
1982年神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程動物学専攻、単位取得退学。その後、上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館:科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教(日本モンキーセンター・学芸員 兼任)を経て、2018年1月に独立。生物にまつわる社会問題を科学分野と市民をつなげて解決に導く「どうぶつ科学コミュニケーター」として活動中。
夢は、今までにない科学的な動物園を造ること。特技はトカゲ釣り。
著書に『新ポケット版 学研の図鑑絶滅危機動物』『新ポケット版 学研の図鑑 爬虫類・両生類』(いずれも学研教育出版)、『絶滅危惧種 救出裁判ファイル』『動物進化ミステリーファイル』(いずれも実業之日本社)、『どうぶつ恋愛図鑑』『へんななまえのいきもの事典』(いずれも東京書店)など。最近は、「こども環境地球儀ハトホル」(渡辺教材教具)など教材開発にも関わる。愛称はぶっちー。
公式ホームページ: http://m-ohbuchi.com/

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