シルバニアファミリー泥棒・ナッちゃん

西山奈都己さんは爪さんの幼稚園の頃から幼なじみ。ナッちゃん、ヒロくんと呼び合う仲です。

小学校高学年になると一緒に過ごす機会は減りましたが、爪少年にとって学校で一番話しやすい女子といえばナッちゃんでした。

ところが小6のある日、クラスの女子たちの会話から信じられないことを耳にします。
ナッちゃんが友達の家に遊びに行くたびに「物を盗んでいる」というのです。

爪少年が、ナッちゃんに特別な親近感を抱いていたのは、ただ幼なじみだったからではありません。家庭の境遇こそ違えど「貧乏」という共通点があったからでした。

「二人一緒なら貧しさに負けない」「金はなくとも心は豊かに」と誓い合ったあのナッちゃんが泥棒に成り下がるなんて……！

当初ははぐらかしていたナッちゃんでしたが、爪少年の真剣な追及にとうとう「友達の家に行くたびにシルバニアファミリーを一体ずつ盗んでいる」と白状します。
お互いに自分の心の内を吐き出し、盗んだものは返却することになりますが……。

結末はぜひ本編で。

爪少年にとって、時には家族以上に自分のつらさを分かち合える同士であり、存在そのものが心の支えだったナッちゃん。
だからこそ、彼女の過ちを人ごとと思えず、必死になるその姿が胸に刺ささります。

弱さに負けてしまった彼女。むしろ嫌いになれたらどんなにラクか。
ありのままのナッちゃんを受け止めた爪さんからの、渾身のラブレターです。