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「大人の恋を描きたい」野原広子さんが語る、大好評の最新連載作『さいごの恋』に込めた思いとは?

『妻が口をきいてくれません』は累計約20万部(紙・デジタル)、昨年刊行の『今朝もあの子の夢を見た』は話題となり、『人生最大の失敗』は楽天Kobo電子書籍Award「一巻完結!読み切りコミック部門」で第2位に入るなど、野原広子さんの昨年度のご活躍は目覚ましいものでした。
休養を経ての待望の最新連載「さいごの恋」は、中年独身女性が主人公という、既刊とは異なる設定の新境地ともいえる作品です。
野原さんに新作に込めた思いを伺いました。

(聞き手・構成「よみタイ」編集部)

更年期を迎え体調を崩して老いを自覚

――『人生最大の失敗』『今朝もあの子の夢を見た』『赤い隣人』と、2023年度は刊行が続きました。相当ご多忙だったのでは。

昨年は、更年期障害の症状が強めに出てしまい、体調がなかなか落ち着かなかったのですが、私には珍しく新作の発売が続き、経験したこともないほどの慌ただしい一年でした。
実際に手を動かして漫画を描いていない時も、常に仕事のことを考えている状態で。
同時進行で複数の作品を進めてしまったことで、それぞれを掘り下げきれなかったのでは、まとまりきれないままなのだったのではと不安もありました。

――三作いずれにも、そのようなことはまったく感じませんが。

今読み返しても、「こんなセリフ、自分が書いていたっけ?」と、記憶が飛ぶほど当時は余裕がなかったのですが、二度とあのようなスケジュールでは仕事はしたくないですね(笑)。ただ、気持ちを切り替えてとにかく前に進むという意味においては、それはそれでいい勉強にはなったのかなと。
作品はそれぞれに何とか着地させられましたし、刊行ラッシュの後に休養しまして、お陰様で体調も戻りました。

大好評連載中の最新作「さいごの恋」
大好評連載中の最新作「さいごの恋」

――これまで、夫婦、家族やママ友の関係性など、子供を持つ女性を主に描いていらっしゃいましたが、今回の連載は、46歳の独身の女性高校教師が主人公という、これまでの野原さんの作品にはなかった人物設定です。テーマを思いついたきっかけを教えてください。

私が今は独身であること、ひとり暮らしを始めたことがきっかけとなりました。
結婚して出産、育児をして子供が独立した後に離婚してひとりになった今、同世代の独身の人の気持ちを想像することができるようになったというか。
さらに、更年期を迎え体調を崩して老いを自覚し、自身の老後を想像するようになったということも影響しています。

最新作では主人公にも更年期の症状が。
最新作では主人公にも更年期の症状が。
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野原広子

のはら・ひろこ●イラストレーター。作品に『離婚してもいいですか?』『離婚してもいいですか? 翔子の場合』『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』『娘が学校に行きません 親子で迷った198日間』『ママ、今日からパートに出ます! 15年ぶりの再就職コミックエッセイ』『消えたママ友』『赤い隣人』(以上すべてKADOKAWA)『お仕事はじめました!』(主婦と生活社)『人生最大の失敗』(オーバーラップ)『今朝もあの子の夢を見た』などがある。
2021年『妻が口をきいてくれません』『消えたママ友』2作により、第25回手塚治虫文化賞「短編賞」受賞。

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