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日本ハムドラフト4位、智弁和歌山・細川凌平選手と父との絆

甲子園では感謝の気持ちを見せたい  

和歌山県の独自大会決勝は、8月6日、智弁和歌山と初芝橋本で行われた。1点先制を許したが、2回に一番・細川のタイムリーヒットで2点を加えて勝ち越し。5回にも細川のタイムリーヒットなどで6点を奪い、10対1の大差をつけて頂点に立った。

細川は試合後にこう語った。

「世界中のみなさんが苦しんでいる状況のなか、大会開催に感謝し、智弁和歌山のユニフォームを着てやるからには負けられない、という気持ちで戦った。優勝をもぎ取ることができ、うれしい気持ちです」

甲子園交流試合の最終日、8月17日に智弁和歌山は尽誠学園(香川)と対戦した。智弁和歌山が1回に1点を奪ったものの、すぐに同点に追いつかれ、2回裏に5点を許した。強打の智弁和歌山打線は9安打を放ったがホームベースは遠く、1対8で敗れた。細川は5打席ノーヒットに終わった。

高校入学時から細川を追いかけてきた木村は、甲子園で戦う彼を見てこう思った。

「細川くん、甲子園ですごくいい表情をしていましたね。最後まではつらつとしていて。ヒットを1本も打てなくても、楽しそうにプレーしていました。本人は『感謝の気持ちを見せたい』と言っていましたが、その姿から彼の思いを感じることができました」

高校入学前に手紙に書いた「甲子園に5回出る」という目標は新型コロナの影響で叶えられなかったものの、4回も甲子園での晴れ姿を見せることができた。

「和歌山の独自大会のあと、嵐山までお父さんの取材に行ったら、細川くんがたまたま実家に戻ってきていて。せっかくの休みなのに、お父さんの仕事場にいて、手伝っていたんです。地元の友達と遊びに行くんじゃなくて、仕事場に行くところに両親への感謝を感じましたね。イカを焼いたりするのを見て、素敵だなって」

甲子園史に残る2020年。球児たちの想いを追った『消えた甲子園 2020高校野球 僕らの夏』

『消えた甲子園 2020高校野球 僕らの夏』は、今回の阿波高校のストーリーのほかにもたくさんの感動エピソードが満載。

【第1章】ヒロド歩美が見た 2020年の高校野球
【第2章】球児を奮い立たせた家族の力
【第3章】甲子園が消えた夏に求めた 「心の中の甲子園」
【第4章】球児を支えた仲間の絆
【第5章】白血病から復活へ
【第6章】球児を育てた地域の力
【第7章】それぞれの「最後の夏」
【第8章】甲子園交流試合 熱戦譜

以上の全8章で構成されています。

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